橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

海外

ザルツブルク「ワイン・アンド・カンパニー」

ザルツブルクの中心部でいちばん大きいワインショップ。世界各国のワインを揃えるが、なんといってもオーストリアのワインを多数、地域別に並べているのがいい。ザルツブルクでオーストリアのワインを買うなら、ここしかない。 店頭にテラス席があり、グラス…

ザルツブルク「カフェ・ザッハー」

ここは、ザルツブルクの旧市街と新市街の間を流れるザルザッハ川のほとり、新市街川にあるカフェ。ホテル・ザッハーの併設である。本店がウィーンにあり、チョコレートケーキのザッハトルテでも有名。もちろん、私の目当てはケーキではなくビールだ。 ホテル…

ザルツブルク「ゲブラー・ブロイ」

この店は、ホテルが併設されたレストラン。ホテルは数年前にスター・インというホテル・チェーンの一つに模様替えし、レストランも新しくなった。今回の宿は、このホテルである。 樽詰めビール(Bier vom Fass)が六種類あり、値段は〇・五リットルで四ユーロ…

ザルツブルク「シュテルン・ブロイ」

ここは、一五四二年創業という、ザルツブルクでももっとも古い部類の醸造所兼ビヤレストラン。時代からいって、モーツァルトが来ていてもおかしくない。 二〇一三年から一四年にかけて改修工事が行われていたため、前回二〇一四年にザルツブルクへ来たときに…

ザルツブルク「シュティーグル・ブロイヴェルト」

二年ぶりに、ザルツブルク音楽祭へ行ってきた。音楽祭と並ぶ楽しみは、ビールとワイン。シュティーグルはザルツブルクを代表するビールで、その工場がザルツブルクの中心部からバスで一〇分ほどの所にある。入場料を取られるが、小さいジョッキで三杯分の試…

ザルツブルク「アルト・ザルツブルク Alt Salzburg」

ザルツブルクの最後の夜は、ちょっと高級なレストランへ。旧市街のいちばん西、カラヤン広場を超えたあたりの、岩壁のそば(というより一部めり込んでいる)にある。注文したのは、おすすめ料理のデギュスタシオン。 前菜はガチョウのレバーのテリーヌで、普通…

ザルツブルク「スティーグル・ブロイヴェルト Stiegl Brauwelt」

スティーグルはザルツブルクを代表するビールだが、その工場がザルツブルクの中心部からバスで少し行った場所にある。ここにビールの製法やスティーグル社の歩みを紹介するミュージアムとビアレストランがある。これが、このブロイヴェルト。入場料を取られ…

ザルツブルク「アウグスティナー・ブロイ Augustiner Brau」

こちらは修道院がそのままビアホールになってしまったという場所。表通りから行くと、目立たない入り口を入り、フレスコ画の描かれたアーチ型の廊下を抜けていくと、食べ物を売る店の並ぶ一角に出て、その先がビアホールとなる。このように趣のある建物であ…

ザルツブルク「スティーグル・ケラー Stiegl Keller」

ザルツブルクに戻り、いよいよコンサート通いも全開。しかし、昼はビヤレストラン通いである。 ザルツブルクのもっとも有名の観光スポットの1つにホーヘンザルツブルク城塞(hohensalzburg festung)がある。festungというのは、城というより要塞で、つまり軍…

チェスキー・クルムロフ「エッゲンベルク Eggenberg」

プラハからザルツブルクへ帰る途中、チェスキー・クルムロフに一泊。世界遺産の町だが、町の中心部は俗化していて、まるで軽井沢の商店街のような有様。しかし中心部から少し外れれば、そこはまさに中世の町。町のなかを流れるのはヴルタヴァ川で、国内から…

プラハ「ウ・メドヴィードクー u Medvidku」

音楽祭の合間、三日ほどチェコへ。お目当ては、もちろんビールである。この店は、観光ガイドなどにもよく載っている有名店だが、入ってみて「おや」と思った。かつて銀座にあった名店「ピルゼン」にそっくりなのである。内装、テーブル、カウンターの形、そ…

ザルツブルク「シュテルン・ブロイ Sternbrau」

ザルツブルクに着いたのは、八月一九日。ザルツブルク音楽祭の模様については別のブログを見ていただくとして、こちらは一四一五年創業という、ザルツブルクでも老舗のビアレストラン。増設に増設を重ねて、屋外ガーデンの他、二階建てに一〇室ほどのビアホ…

ウィーン「ワイングート・ラインプレヒト Weingut Reinprecht」

ウィーンの二日目は、ハイリゲンシュタットへ。ベートーベンが夏になると訪れたウィーン郊外の保養地で、「田園」や「英雄」の構想を練り、また遺書を書いたことでも知られる場所である。「田園」の第二楽章に描かれているといわれる小川にも行ってみたが、…

ウィーン「ビアホフ Bierhof」

二年ぶりでオーストリアを訪問。主目的はザルツブルク音楽祭だが、まずはウィーンに二泊して観光とビール三昧。 この店は、屋外テラスと屋内席を備えたビアレストラン。観光客もいるが、どちらかといえば地元客が多そうだ。ビールは、ウィーン産のオッタクリ…

ザルツブルク「ムンデンハーマーブロイ」

この日、音楽祭は午前一一時からのマチネーだけ。どうも天気が悪い。一日中雨模様で肌寒く、朝の最低気温は一〇度。というわけで、少し買物した後はしばらくホテルでごろごろし、夕方からレストランへ出かける。続けてコンサートを聴いていたので、夜ゆっく…

ザルツブルク「ガブラーブロイ」

モーツァルトハウスで「ドン・ジョバンニ」を見たあと、シュターツ橋を渡って新市街へ。そのまままっすぐ進んでしばらく行くと、左側にあるのがこのレストラン。ここも名前の通り、ビールがメインのレストランである。音楽祭会場から近く、ホテルも併設され…

ウィーン「バイスル」

途中、音楽祭を二日ほどお休みしてウィーンへ。どこかで地元の料理でも食べようかと入ったのが、この店。シュテファン大聖堂の近くで、地元客が大部分。ここで、ビールを飲みながらグーラッシュとターフェルシュピッツをいただく。 オーストリアのビールは、…

ザルツブルク「スティーグル・ブロイ」

八月下旬、ブログの更新をお休みさせていただいた。その間何をしていたかというと、実はザルツブルク音楽祭へ行っていた。音楽祭については別のブログを参照していただくとして、こちらは当然、酒の店を紹介することにする。 最初に宿泊したのは、スティーグ…

欧州で日本の居酒屋文化を思う

毎日新聞社のPR誌『本の時間』9月号に、著書紹介を兼ねてエッセイを書きました。転載しておきます。 欧州で日本の居酒屋文化を思う この六月に、毎日新聞社から『居酒屋ほろ酔い考現学』を出版させていただいた。何冊目になっても、自分の本が出版されるのは…

パリ「ビュイッソン・アルダン」

旅行をはさみながら2ヶ月に及んだパリ滞在も、今日で終わり。最後の夜は、アパルトマンのすぐ近くのレストランへ。 ミシュランガイドの東京版が、粗雑な作りでまったく信頼できないものであることについては、すでに多くの指摘があり、私も別のところで指摘…

ザルツブルク「スティーグル・ブロイ」

ザルツブルク音楽祭では、ウェルザー・メスト指揮のクリーブランド管弦楽団と、サロネン指揮のウィーン・フィルのコンサートを聴いた。市内観光も含めて全部で3泊し、市内のいくつかのレストランで食事をしたが、そのうちのひとつがここ。スティーグルStiegl…

ウィーン「ジーベン・シュテルン・ブロイ」

ザルツブルク音楽祭のついでに、ウイーンに立ち寄る。フランスがワインの国であるのに対して、ドイツは、ラインやモーゼルに良いワインがあるとはいうものの、基本的にはビールの国。それではオーストリアはどうかというと、ビールとワインの重みがほぼ同等…

アウグスティーナー・ブロイのヴァイス・ブルスト

ミュンヘンに着いた日の正午過ぎ、あるビアケラーに入って名物のヴァイス・ブルスト(白ソーセージ)を注文しようとしたところ、白ソーセージは正午までしか出さないとのこと。わずか15分ほどの差で食べ損ねた。そこで日を改め、今度は別の店で注文。場所は、…

ミュンヘン「ホフブロイハウス」

ミュンヘンは、世界最大のビールの聖地。以前から行ってみたいとは思っていたが、今回、ザルツブルク音楽祭への行き帰りに立ち寄ることができた。日本風には「ビアホール」ということになるが、ビアケラーと呼ばれるビール店のなかでいちばん有名なのは、ご…

エクルヴィスの造り

マンガ「美味しんぼ」は、近年ではすっかりマンネリ化してしまっているとはいうものの、料理に関心を持ち始めた院生時代は、いろいろ学ばせてもらった。その頃に出てきて、はじめて知った食材のひとつにエクルヴィス、つまりザリガニがある。日本では滅多に…

ハギス

アイラ島からグラスゴー経由でエジンバラへ。エジンバラ国際フェスティバルでコンサートを聴くのが主目的だが、もちろんパブめぐりも忘れるはずはない。 スコットランドのパブ料理といえば、有名なのはハギス。これは、羊の内臓のミンチをオートミール、タマ…

アイラ島「ロッホサイド・ホテル」

今回の1泊2日の滞在では、見学して試飲をした蒸留所が4ヶ所(ボウモア、ラフロイグ、カオリラ、ブナハーベン)、外観をみて売店に立ち寄っただけの蒸留所が2ヶ所(アードベッグ、ラガブーリン)、そして休業のためちょっとのぞいただけの蒸留所が2ヶ所(キルコー…

キルコーマン・ファーム・ディスティラリー

アイラ島でいちばん新しい蒸留所。なにしろ、創業は2005年である。実際にはいろいろ困難があって、まだ実現していないようだが、自家農場で生産した大麦を蒸留所でフロアモルティングし、燻蒸して仕込むという、100%自家生産を目指しているとのこと。だから…

カオリラ・ディスティラリー

CAOL ILAと書いて、カオリラと発音する。アイラ海峡という意味のゲール語で、アイラ島とユラ島の間の狭い海峡のこと。この海峡に面して建っているのが、この蒸留所。蒸留所の前の岸辺に立つと、向こう側には頂上が雲に隠れたユラ島の山々。すばらしい環境で…

ラフロイグ・ディスティラリー

昼食の後、アイラ島南部へ。最南端に近いポートエレンの近くには、アードベッグ、ラガブーリン、ラフロイグという3つの蒸留所がある(ちなみに、以前はポートエレンという蒸留所もあったが、現在は閉鎖されて精麦所だけが操業している)。アードベッグとラガブ…