橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

京都「京都醸造タップルーム」

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 次のブルワリーは、京都駅の南、九条と十条の間にある「京都醸造」。近鉄線や市営地下鉄の十条駅からも行けるが、かなり歩くのでバスを使った方がいい。営業は金土日の週3日。もともとは1階タップルームと2階フロアで飲食できたらしいが、コロナ禍のため中止し、タップルームで買ったビールを屋外のテーブルで飲むというスタイルになっている。ビールの種類が多く、この日は9つのタップに樽がつながっていた。ベルギースタイルが得意のようで4種類、他にもアメリカンIPA、ピルスナーなど。いずれもスタイルの真ん中をいく、鮮やかな味わいのビールだった。
 3月4日現在は持ち帰りのみだが、3月12日から営業を再開するとのこと。(2020.12.12)

京都府京都市南区西九条高畠町25-1
https://kyotobrewing.com
[3月12日以降の営業予定]
金:17:00~20:30 (LO 20:00)
土日:12:00~18:00(LO 17:30)

京都「ウッドミルブルワリー」

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 こちらは京都市中心街の北端、同志社の近くにある「ウッドミルブルワリー」。ガレージの奥に作業場、さらに奥に醸造所があり、土曜と日曜のみ、作業場に椅子とテーブルを出してタップルームを開店している。この日のラインナップは、エールが三種類と、ベトナム産ハーブを使った「スアンエール」。私はアメリカンスタイルの「和らぎIPA」をいただいたが、その名の通りIPAにしては苦みが控えめで、香りが良くスムーズな味わいだった。
 現在は緊急事態宣言下のため、商品販売のみとのこと。行く場合は、ホームページで確認を。(2020.12.12)

京都府京都市上京区 上立売通小川東入上る挽木町528番地
土日 11:00~16:00
woodmill-brewery.kyoto

京都「スプリングバレー京都」


 11月から12月にかけて1ヶ月間、形式的に立命館大学に籍を置き、2021年度に実施する大規模調査のための下見と資料収集のため、京都市に滞在した。当然、あちこちの居酒屋等にも行ってきたので、しばらくはそのときのことを書こうと思う。
 京都のクラフトビールといえば、黄桜、キンシ正宗という2つの大手日本酒メーカーが、かなり以前から製造を開始していたが、これに続く動きは少なかった。しかし近年、マイクロブルワリーが次々にオープンして、活発な動きを見せている。
 まずは大手のキリン系列から。キリンビールは「スプリングバレー」というブランドでクラフトビール事業を展開しているが、2017年に新たに開店したのが、「スプリングバレー京都」。錦市場の近くにある築100年にもなるという町家を改築して、ブルワリーとレストランを併設している。ビールのスタイルは多様だが、10種類の飲み比べセットがあるから、まずはこちらを注文するといい。大手の手がけるクラフトビールだけに、驚きは少ないがどれも質が高い。レストランメニューも充実している。(2020.12.1)

京都府京都市中京区 富小路通587−2
11:30~20:00 水休

所沢「百味」が復活

昨年5月、所沢随一の大衆酒場「百味」が、コロナ禍で閉店したという記事を書いた。ところがその後、閉店を惜しむ声に押され、別経営者で復活開店したとのこと。内装はもちろん、メニューも価格もほぼ同じで、照明や会計システムなどは新しくしたとのこと。このご時世ではあるけれど、行ってみたい。ご教示いただいたmitutataさん、ありがとうございました。
syupo.com

「やきとんひなた」が営業再開

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 暗い話題が多い東京の居酒屋業界だが、営業再開の動きもでてきた。この日は、「やきとんひなた」が全13店中7店で営業を再開。このうち池袋東口店は14:00~20:00の営業とのことで、16:00過ぎに行ってみた。
 料理のメニューは減らしている。この店のメニューは、もつ焼きもつ煮込みをメインに、鮮魚とイタリアンを加味したところに特徴があるが、鮮魚とイタリアンは封印。だからもつを中心とした普通の居酒屋メニューとなっている。酒のメニューはほぼ変わらないが、限定日本酒のメニューはなかった。生ビールは、開けたてだろうから、たいへん美味しかった。もつ煮込みともつ焼きは、相変わらずの味。
 テーブルの数を減らし、入り口は開け放したまま。店頭にはテイクアウトの品がずらり。ただし、客は少ない。1時間ほどいたけれど、私を含めて5人だけ。5時半過ぎくらいには、客が増えただろうか。
 これから少しずつ、店を開けるところが増えてくるだろう。楽しみ半分、応援半分で、できるだけ行くようにしよう。(2020.5.19)

所沢の「百味」が閉店

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 あるいは今年は、戦後居酒屋文化の曲がり角となるかもしれない。あちこちから、老舗酒場が閉店したという知らせが舞い込んでくる。
 そして数日前、所沢の「百味」が閉店したという知らせが舞い込んできた。社長は以前から体調が悪く、後継者もいなかったとのことだが、コロナウイルス禍がとどめとなったようだ。キャンパスも閉鎖されているし、所沢にはもう2ヶ月も足を運んでいないから、様子を見に行くこともないうちに。無念だ。(2020.5.18)

2020年の立春朝搾り

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 原稿に追われていて、ずいぶん更新していなかった。新年のご挨拶もせずにいて、申し訳ありません。といいつつ、だいぶ前の話題である。
 六軒の酒販店と二軒のネットショップで買い集めた、今年の立春朝搾り。左から、千代の亀、鳴門鯛、司牡丹、梅錦、五橋、天覧山、開華、仙禽、賀茂泉、甲子、白馬錦、多満自慢。特に印象に残ったのは、安定感抜群の梅錦、目の覚めるような香りの五橋、先駆者らしい貫禄の開華。
 ワンパターンでアピール力のないラベル、元号を使う国際センスのなさは相変わらずだが、少し値段を上げたとはいえコストパフォーマンスが高いところもあいかわらず。ボージョレーヌーボーと違って、事前に瓶詰めしておくわけにもいかないから輸出は難しいかもしれないが、海外に空輸して三日遅れくらいで提供することはできないか。ラベルのデザインさえ変えれば、その価値のある酒だと思う。(2020.3.17)

要町「旬 さくら」

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 こちらは要町の駅のすぐそば。一本入った路地裏の和食居酒屋である。まずビールをいただくが、なぜか生ビールはカールスバーグ。たまにはいいだろう。日本酒が陸奥八仙、豊盃、七田など数種類あるのがいい。刺身の盛り合わせは、鮪、鰤、鯛、締め鯖など六種類。いいものを出しているようで、かなりサイズが大きく、その分薄めに切ってある。茄子の揚げ浸しは、彩りがよく、出汁が美味しい。寿司も出している。
 夫婦なのか、男性が調理を女性がフロアを担当している。地元の人に愛されている店なのか、六時も過ぎればかなり満員に近くなる。地元密着を絵に描いたような、いい店。私もいちおう地元だから、時々出かけよう。日本酒の種類がもう少し多ければうれしいのだが。(2019.10.2)

豊島区要町1-18-3
17:00~23:00 日祝休

小竹向原「やきとんだいだら 小竹向原店」

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 最近、いちばん頻繁に行っているのは池袋の「やきとんだいだら」。なぜなら、池袋駅と自宅のちょうど中間にあり、うまい日本酒をいつも数種類置いていて、しかも一合五八〇円と安いから。この「やきとんだいだら」の新しい店ができたというので、行ってみた。
 場所は、有楽町線小竹向原から歩いて二分ほどの住宅地の中の、緑道に面したところにある。カウンターと、テーブルが一〇卓ほどあっただろうか。日曜は一五時開店というので、一六時ほどに行ったが、まもなくほぼ満員になった。開店早々、地元客に受け入れられているようだ。メニューは池袋店とほぼ同じ。日本酒メニューはなかったが、聞いてみるといい酒が三種類ほどあった。ちゃんとメニューを作っておいてほしいものだ。
 近所の人には、朗報だろう。沿線の人も、途中下車して立ち寄る価値はあると思う。(2019.9.29)

板橋区小茂根1-27-3
17:00〜24:00 (土日祝日15:00~) 不定

池袋「SCHMATZ」

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 池袋にドイツビールを飲ませる店ができたと聞いて、行ってきた。西口と東口の両方にあるが、私が行ったのは西口の方で、ルミネ池袋の九階。都内に十数店舗あるチェーンらしい。
 テーブルに通されて、ビールのメニューを眺めてみる。ビールは七種類で、ヴァルドリング(エクスポート)、プリンツィンガー(ピルスナー)、ビットブルガー(ビルスナー)、フェルンベー(ペールエール)、ヘルツ(デュンケル)、ハッフェッンストッフ(ポーター)、そして時々変わるおすすめビール(この日はサッポロのエーデルピルスとのこと)。値段はグラスで六五〇円から八五〇円なのだが、一二〇分飲み放題が二五〇〇円だというから、これにするしかない。
 まずは、ビットブルガーから。飲みながらビールの説明書きを読むと、「新鮮なドイツビールを提供するため、ドイツビールの伝統製法をよく知る日本国内のブルワリーと提携」して作っているとのこと。ビットブルガー以外、知らないビールばかりで、しかも英国風までまじっているのは、そういうわけである。いったい、どこが醸造しているのだろうか(ビットブルガーだけは樽で輸入しているようだ)。
 ビールは、どれも美味しい。ビットブルガーは安定した旨さだが、とくにデュンケルが気に入った。ペールエールとポーターは、製法が英国風で、ドイツのホップを使っているのかも知れないが、確信はない。
 料理はTAPAS(なぜかスペイン風)と称する五〇〇円メニューがあって、こはだのロールモプス、三種のテリーヌ、ポークレバーパテ、ジャーマンポテトなど。一人なら、これを注文すればいいだろう。
 結局、七種類すべてを制覇して、ビットブルガーをおかわりしたところで時間が来た。ちょうどいい具合で、格安。また来ることにしよう。(2019.9.14)

豊島区西池袋1-11-1 ルミネ池袋店 9F
11:00~22:30 無休