橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

池袋

「やきとんひなた」が営業再開

暗い話題が多い東京の居酒屋業界だが、営業再開の動きもでてきた。この日は、「やきとんひなた」が全13店中7店で営業を再開。このうち池袋東口店は14:00~20:00の営業とのことで、16:00過ぎに行ってみた。 料理のメニューは減らしている。この店のメニューは…

要町「旬 さくら」

こちらは要町の駅のすぐそば。一本入った路地裏の和食居酒屋である。まずビールをいただくが、なぜか生ビールはカールスバーグ。たまにはいいだろう。日本酒が陸奥八仙、豊盃、七田など数種類あるのがいい。刺身の盛り合わせは、鮪、鰤、鯛、締め鯖など六種…

池袋「SCHMATZ」

池袋にドイツビールを飲ませる店ができたと聞いて、行ってきた。西口と東口の両方にあるが、私が行ったのは西口の方で、ルミネ池袋の九階。都内に十数店舗あるチェーンらしい。 テーブルに通されて、ビールのメニューを眺めてみる。ビールは七種類で、ヴァル…

目白「天作」

この日は、目白の天ぷら屋さんでコースをいただくことに。目白駅から西へ少し歩き、左側に入った住宅地の入り口のような場所で、住所は新宿区下落合になる。 コースは四〇〇〇円から七〇〇〇円までの4種類。今回は五〇〇〇円の月コースを注文。まずはサラダ…

池袋「日本酒原価酒蔵 池袋店」

前から気になっていたこの店、ふと思い立って訪れてみた。 たしかに日本酒の種類は多く、安い。注文すると100ミリリットルの小瓶に詰め替えたものを持ってくるのだが、その値段が、「醸し人九平次・純米大吟醸」三三三円、「澤屋まつもと・純米吟醸」二九八…

池袋「SNARK LIQUIDWORKS」

わが家の隣に、「西池袋mart」という建物がある。元は商業ビルだったらしく、商店の名前の看板がいくつか残っている。そうとう古い建物で、名称からみても、おそらく露店整理で立ち退いた商店を収容するために作られたものだろう。ほとんどの店舗は退去して…

今年の花見酒

今年は何回、花見をしましたか。自宅から歩いて3分ほど、立教大学池袋キャンパスの南側の門のそばに桜の木が二本あるが、そのうちの一本を個人的に「ソメイヨシノの標本木」に指定して、毎日写真を撮ってきた。これはその、3月28日から4月20日までの24日分を…

「木々家・七号店あずま通り店」

もつ焼きチェーンの快進撃が続く。「やきとんひなた」と並ぶ注目チェーンも、七号店を出すまでになった。 「ひなた」とは共通点とともに一長一短がある。共通点は、もつ焼きがうまいこと、リーズナブルなこと、メニューが多いこと、いい日本酒を置いているこ…

「やきとんひなた 池袋西口店」

今年の外飲み初めは、例年通り元旦の銀座ライオンの銀座七丁目店だった。そしてモツ初めは、まだほとんどのモツ焼き店が正月休みの二日に、「テング酒場」で。チェーン店じゃないかと思われるかもしれないが、これがよかった。ふだんも並みの店よりは美味しい…

御影蔵

どこか居酒屋で原稿のチェックがしたいのだが、まだ日が高い。かといって、「ふくろ」やチェーン店では落ち着かない。どうしたものか。思い立って東武百貨店の上階に行ってみたら、適当な店がある。 何種類かある日本酒は、いずれも菊正宗。大手の酒でも、菊…

楽酔 久ばら

この店のことは、以前から聞いて知っていたのだが、開店から一年ほど経ったこの日、初めて訪問した。姫路の名酒「龍力」で働いていたというご主人が、お連れ合いと二人で始めた日本酒の店である。 龍力といえば「米のささやき」だろうけれど、逆にいえばこれ…

「まるさん」

ここは池袋西口の近くにある老舗居酒屋。遠い昔に来た記憶があるだけで、ずいぶんご無沙汰だった。 魚料理が中心で、刺身が安くて量が多い。その日のおすすめ三点盛り、この日はマグロぶつ、ブリ、ヒラメの三種類だったが、一人だと多すぎるくらいに盛り込ま…

「やきとんひなた 池袋東口店」

「やきとんひなた」に、池袋店ができたので、開店の2月11日に行ってみた。場所は東口で、ビックカメラ本店の裏通りを、文芸座の前を通り過ぎて突き当たったところ。大きな店だ。厨房を取り囲むカウンター席が12席ほどと、一人客から大人数のグループまで対応…

「やきとんだいだら」

池袋初の、秋元屋系もつ焼きの店。秋元屋系では、ひなたグループの「雨ニモマケズ」が池袋にあるが、こちらは高級路線の割烹料理。ひなたから独立した「やきとんだいだら」は東武練馬にあり、沼袋に支店を出しているが、三軒目は何と池袋の立教大学のそば。 …

「もり山」

池袋といっても、いちばん北のはずれの住宅地にある、席数わずか五つの小さな割烹。基本は予約のコースのみで、ホームページで予約状況の確認と予約ができる。 この日の料理は、先付けが枝豆のだし浸し、サザエの煮物など四点、トマトの冷たいスープ、醤油と…

「鉄鍋キッチン ロティット」

今日は、近所のフレンチへ。フレンチといっても、鉄鍋を使った料理がメインで、まあ家庭料理だろう。 鴨肉と豚肉の田舎風パテ(八八〇円)は、稠密なテクスチュアで濃厚な味。ホタテとトリュフのスフレオムレツ(一二〇〇円)は、トリュフの香りが素晴らしい…

「一心」

以前から気になっていた、池袋西口から歩いて一分ほどの店。看板に「池袋漁港居酒屋」とあるように、海鮮が中心の居酒屋だ。 表の黒板が、食欲をそそる。メバル煮つけ、シメサバ、あなごの串揚げ、地ハマグリ焼きなど、読みやすい字でずらりとお勧めが書かれ…

「三河屋酒店」

私の住むマンションの向かい、徒歩一〇秒の場所の酒屋である。もともと激安の角打ちをやっていたが、新装開店して、都内でも最強クラスの角打ちに生まれ変わった。何がすごいかというと、日本酒の品揃えと値段である。 写真ではわかりにくいかもしれないが、…

「雅屋」

駅周辺からの帰りによく通る道に、「YEBISU中ジョッキ198円」という看板のある、チェーン店らしき店がある。別の看板には、有名地酒の名前もいくつか。気になってはいたのだが、この道を通るときはたいがい、飲んだ帰りか食材を買った帰りなので、なかなか入…

「赤バル レッツェ」

少し飲んで、池袋に帰ってきた。さて、もう一軒寄ろうかと考えて、前から気になっていたこの店へ。「赤バル」とは不思議な名前で、しかもバルの綴りがBARU。グーグルで調べてみると、なぜか日本にはこのように書いて「バル」と読ませる店がたくさんある。赤…

要町「けむり屋」

今日は、おいしい肉が食べたい。というわけで、自宅から歩いて六分のこの店へ。山手通りから少し入ったところの一軒家で、外の板壁に「ロース」「サガリ」「三角バラ」などと、牛肉の部位を書いた札がたくさん貼られているのが目を引く。予約して、一階のカ…

CASA DEL GUAPO

この日は、近所のスペインバルへ。店内には生ハムの原木(木じゃないけど、こう呼ぶらしい)が何本もつり下がっていて、注文するとその場で切って出してくれる。ハモンイベリコが一二〇〇円、ハモンセラーノが八〇〇円とリーズナブルで、十分においしい。ワ…

「ふくろ 美久仁小路店」

この日の3年ゼミは、恒例の池袋フィールドワーク。まずは豊島区郷土資料館へ行って、ヤミ市模型を中心に池袋の歴史をふりかえる。そのあとは、西口広場、地下通路を通って東口広場、そして美久仁小路界隈と、ヤミ市ゆかりの場所を一回り。終点は、この店で…

「PUMP」

池袋に比較的最近できたクラフトビールの店。カスクから注ぐのは一〇種類で、濃色エール、淡色エール、ラガーとバランスよくそろえている。価格も、USパイントで八〇〇円からとリーズナブル。「CRAFT BEER AND AMERICAN FOOD」と看板にあり、メインの料理は…

「祭一番」

池袋に、奥能登出身の祭好きがやっている店があるというのは、ネットで調べて知っていた。実際に入ったのは、今回が始めて。 店主に話しかけて能登出身だというと、こんな会話がはじまった。「能登のどこです」「珠洲」「え、珠洲のどこですか」「飯田」「え…

「永利」

池袋駅の北西には、中華街といっていい一角が形成されつつあって、中国人が多数集まってくる。自宅とは反対方向ということもあり、あまり行かないのだが、この日はその少し先にあるこの店で、大学の飲み会をやることになった。集まったのは主に若手・中堅で…

「万事快調」

池袋には名酒居酒屋とクラフトビールの店が多いが、ここはなんと、両方を兼ね備えた店。看板には写真の通り、「KRAFT SAKE KRAFT BEER」の文字が。 日本酒は、「宗玄」「風の森」「悦凱陣」「隆」など、笹塚のH酒店から仕入れたと思われる二〇種類ほどが並ぶ…

「雨ニモマケズ」

どんどん進化していく「やきとんひなた」チェーン。今度は、正統派の割烹居酒屋だ。 メニューに並ぶのは、一〇種類ほどの刺身と、素材を生かした日本料理の数々。ふぐ料理、すっぽん料理もある。刺身盛り合わせは、円形の皿に美しく盛られてくる。蟹の甲羅揚…

「蛍月」

この日は『居酒屋ほろ酔い考現学』文庫版の完成祝いで、この店へ。編集者たち三人と、打ち上げである。けっこう知られた店だが、何となく一人では入りにくいので、これまで行ったことがなかった。もとはといえば、名酒居酒屋さきがけの一つだった「味里」の…

「トルコアズ」

池袋にはかつて、老舗のトルコ料理店「カッパドキア」があって、私が初めてトルコ料理に目ざめたのはこの店だった。しかし、場所が悪かったのかすでに閉店。この日向かったのは、この店である。実は以前、ランチを食べに行ったことがあって、乾いてパサパサ…