橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『おとなの週末』2010年11月号

『おとなの週末』が快調だ。今月の看板特集は「大満足の居酒屋」。単に「いい店」を並べるだけでなく、企画にメリハリがある。取材で新たに見つけた新しい「名店」、広く知られている老舗をひととおり回っての再評価、創刊から九年間に掲載した居酒屋をひと…

松茸と牛肉のホイル焼き

今年は松茸が豊作で安いというが、産地でもない場所に住む一般人に無縁のものであることには変わりがない。しかし、中国産がある。出回り始めた初期は、傷が多かったり土にまみれていたりして、失望することが多かったが、最近はかなり品質が上がってきた。 …

麻布十番「レ・シュー」

今日は、妻の知人のフランス人が、仕事で世話になったお礼にご馳走してくれるというので、ご相伴で麻布十番へ。行き先は、このフレンチ店。払ってもらう立場なので、値段はちゃんと記録していないが、ランチコースが四〇〇〇円弱。ワインの値段は市販価格の…

品川「土風炉 夢町小路 品川店」

今日は、知人の英国人を妻が接待するのに付き合って、品川へ。場所はどういう訳か、チェーン店の「土風炉」。 株式会社ラムラの経営するこのチェーン店は、二〇年ほど前に登場し、当時は意欲的なメニューでちょっと話題になったように記憶しているが、長い間…

『嗜み』2010年秋号

最新号が出ました。連載中の「全国居酒屋ほろ酔い考現学」は、静岡編。ブログでも取り上げた「多可能」「鹿島屋」「橋」「金の字本店」「河よし」「三河屋」「藤の家」「なごや」と、八軒を紹介しています。 他の記事では、市川團十郎の「『宇宙』を語る」、…

銀座「坐来」

今日は出版社との打ち合せで、銀座へ。外堀通りに面したビルの八階にあるこの店は、大分の郷土料理の店。大分県が経営するアンテナショップも兼ねており、エレベーターを降りたところのホールには、地元産品やガイドブックなどが並んでいる。 郷土料理店とい…

沼袋「やきとん たつや」

西武新宿線は、ふだん乗ることのない路線だが、野方の「秋元屋」をはじめとして、いい店が点在している。そこに「秋元屋」で修業した人が新しい店を開いたと聞いた。最寄りの駅は、沼袋。それなら、私の職場からいちばん近い駅だ。そこで新江古田駅のある交…

藤木TDC『場末の酒場、一人飲み』

著者は、私の命名するところ、「ヤミ市系ルポライター」である。ヤミ市起源の飲食店街や商店街、ほとんど廃墟と化したその名残などを、執拗に追いかける。たんに眺めるだけでなく、その歴史についても資料を渉猟する。本書は、その取材・研究の成果をコンパ…

中野「煮込み屋 ぐっつ」

さて今日はどこへ飲みに行こうかと考えながら大学を出ようとしたら、同僚に飲みに行くならどこか連れてってくれとせがまれ、久しぶりに中野へ行くことにする。まずは「魚の四文屋」に入ってビールでのどを潤し、前菜に魚を食べたあと、向ったのがこの店。前…

ラズウェル細木『大江戸 酒道楽』

『酒のほそ道』で知られる作者だが、この作品は江戸が舞台。 酒の行商を営む大七が主人公で、江戸の酒風俗と食文化が、事細かに描き込まれている。山くじら鍋や紅葉鍋、雛祭りにいただく蛤のお吸い物、飛鳥山の花見、屋台の天ぷら、腹身を使ったねぎま鍋など…

恵比寿「プレハブ酒場」

しばらく来ないうちに、恵比寿にも新しい居酒屋が増えた。道をはさんで「プレハブ酒場」と「立呑屋」。いずれも最近流行りのレトロ風味の居酒屋だが、意外にもちょっと高めの寿司屋「松栄」グループの経営とのこと。「プレハブ酒場」は、静岡おでんと富士宮…

恵比寿「ヱビスビール記念館」

昨日に引き続いて、恵比寿へ。ガーデンプレイスで行われている「恵比寿麦酒祭」を見に行くためである。といっても、メイン会場のビヤガーデンはチケット売り場に長蛇の列だし、そもそもこちらにはあまり関心がない。目当ては、恵比寿麦酒記念館のテイスティ…

恵比寿「恵比寿横丁」

今日は、毎日新聞の取材で「恵比寿横丁」へ。最近、昔風の横丁を再現したような居酒屋や居酒屋街が増えているが、なぜでしょうか、というのが、記事の主旨らしい。そこで酒を飲み、料理をつつきながら、戦後ヤミ市から居酒屋横丁の形成、そして最近の居酒屋…

勝沼「ぶどうの丘」

今年もゼミ合宿で勝沼へやって来た。「ぶどうの丘」に宿泊して、一日目は一時から六時、二日目は九時から一二時というハードスケジュールで卒論に向けた研究発表。午後は、希望者だけで新装したメルシャンのワインギャラリーなど三ヶ所を回って解散し、一人…

消えた「つるかめ食堂」

都内で用を済ませてから新宿の思い出横丁に寄ったが、いつもと風景が違う。中心部の一角が白いシートで覆われていて、中を覗くと更地だ。あの名店「つるかめ食堂」が消えてしまった。また火事でもあったのか。その割には隣の店は何事もないようだが。再開発…

『おとなの週末』2010年10月号

「食べログ」は、私もときどき使う。何しろ掲載店数が多いので、たいがいの店は載っている。このブログでも、住所や休業日などのデータを確認するのに使うことがある。しかし、どの程度信用できるのか。これは、とある小さな老舗居酒屋で主人から聞いた話。 …

三軒茶屋「ワイン食堂 TEPPEN」

表参道のカフェで、軽く前菜とビール、ワインをいただいたあとは、三軒茶屋へ。世田谷通りと国道にはさまれた元ヤミ市の三角地帯を脱けてすぐの場所には、ちょっとおしゃれな店が何軒かある。今日はその一軒に入ってみることにした。 店内は狭く、カウンター…

表参道「カフェ・ラントマン」

ザルツブルク行きで使ったオーストリア航空からサービス券をもらったので、行ってみることに。ウィーンの有名なカフェの唯一の日本支店で、ゆったりスペースをとった店内は、なかなかエレガントな雰囲気だ。メニューは、ウィーン風のコーヒーとオーストリア…