橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2015-01-01から1年間の記事一覧

「赤バル レッツェ」

少し飲んで、池袋に帰ってきた。さて、もう一軒寄ろうかと考えて、前から気になっていたこの店へ。「赤バル」とは不思議な名前で、しかもバルの綴りがBARU。グーグルで調べてみると、なぜか日本にはこのように書いて「バル」と読ませる店がたくさんある。赤…

『居酒屋の戦後史』

昨日の日経夕刊で紹介されました。「飲み屋と酒の変遷を描きながらの見事な時代史」というのは、まさに私が欲しかった/目標にしていた評価でした。ありがたい。居酒屋の戦後史 橋本健二著 飲む習慣の広がり描く 居酒屋の戦後史 (祥伝社新書)作者: 橋本健二…

大阪「BEERBELLY」

この日は、学会で大阪へ。夜着いてホテルに荷物を置き、飲む場所を探す。一軒目は、安くて良心的ながら、あまり特徴的でない店だったので省略。二軒目を探して歩き回ると、目に飛び込んできたのが「店内でビールを製造!」という文字。これは、入らないわけ…

上板橋「もつ九」

二軒目は、久しぶりにこの店。板橋に住んでいた十数年間、通い続けた店である。ご主人と女将さん、年は取ったけれどまだまだ元気。メニューも、あいかわらず充実している。刺身や揚げ物が三八〇円からと、あいかわらず安い。不景気と貧困化で居酒屋は年々減…

東武練馬「日々是君想」

「やきとんひなた」の新しい店へ行ってきた。東武練馬駅を西口に出て、線路際の道を池袋方向に少し戻ったところ。店の外側はガラス張りで、中の雰囲気がよくわかる。ちょっとおしゃれなカジュアルレストランの雰囲気だ。中に入ると、開店直後なので、社長の…

新著のお知らせ

12月初めに、新著『居酒屋の戦後史』が出版されます。 一九四五年の焼跡の国民酒場から説き起こし、酒と居酒屋の戦後七〇年(戦時中を一部に含みますが)を振り返ります。ご一読いただければ幸いです。 まだ校正が終わっていないのに、予約できてしまうよう…

江古田「山下家」

この日は、大学で授業をしたあと、江古田の行きなれた理髪店へ。髪を切ってから居酒屋を物色していると、住宅街に少し入ったあたりに、見慣れない店がある。店頭には「龍力」「石鎚」「奥播磨」などの日本酒の瓶が並び、一品料理の充実したメニューも。これ…

要町「けむり屋」

今日は、おいしい肉が食べたい。というわけで、自宅から歩いて六分のこの店へ。山手通りから少し入ったところの一軒家で、外の板壁に「ロース」「サガリ」「三角バラ」などと、牛肉の部位を書いた札がたくさん貼られているのが目を引く。予約して、一階のカ…

大山「やきとんひなた」

すでに二回紹介している、板橋の名店「やきとんひなた」。今日はZeissのPlanar2/45でいい写真が撮れたので、載せておく。店も少しずつ増えて、存在感を増している。新店情報は、下のリンクから。(2015.9.19) 板橋区大山町8-8 17:00(土日祝16:00)〜24:00 月休…

静岡県地酒まつり in Tokyo 2015

この日は、静岡の日本酒の試飲会で新宿へ。静岡酒の人気は、一時期ほどではないのかもしれないが相変わらず高い。会場は、開会のかなり前から長蛇の列で、予定より早く開場。予定時刻にならないと試飲はさせないのが決まりだが、一部にフライングの蔵があっ…

十条「斎藤酒場」

この日は、仕事が一区切りついたので、明るいうちから飲むことにする。一軒目は赤羽の「まるます家」で、ビールを飲みながら鯉の洗いやたぬき豆腐をいただく。相変わらずの大繁盛だが、平日の昼間となれば待たずに入れることもある。そして二件目は、十条の…

八丁堀「maru」

この日は、ワイン仲間の会で、八丁堀のこの店へ。一階がリカーショップ宮田屋という酒屋で、その奥には立ち飲みコーナー。そして二階と三階がワインバーになっている。今日入ったのは、二階。 壁面と冷蔵庫にずらりと並んだワインを品定めして注文できる仕組…

CASA DEL GUAPO

この日は、近所のスペインバルへ。店内には生ハムの原木(木じゃないけど、こう呼ぶらしい)が何本もつり下がっていて、注文するとその場で切って出してくれる。ハモンイベリコが一二〇〇円、ハモンセラーノが八〇〇円とリーズナブルで、十分においしい。ワ…

TBSレビュー出演

放送からだいぶ経ったので、そろそろ書いてもいいだろう。 「TBSレビュー」という番組に出演した。TBSの「検証番組」で、「TBSのみならず、放送全般が抱える問題について、幅広く取上げ、検証していく番組」とのこと。この回は「吉田類の酒場放浪記」がテー…

「ごっつぁん」

今年も恒例の、聖心女子大学での集中講義。最終日が終わって、中目黒へやってきた。一軒目は、「藤八」。そして、二軒目はこの店。瓶ビールと地酒以外はすべて三五〇円というこの店、今日いただいたのは、鰹刺し、穴子の白焼き、焼蛤、そして焼鯖。酒は、玉…

京都「あきよし」

この日は、立命館大学で最近の研究について話をするよう頼まれ、京都へ。蒸し暑い日で、汗だくになって大学に到着し、一時間半ほど話し、討論したあと、Y教授の行きつけのこの店へ。 リーズナブルで使いやすい小料理屋のようだ。味は良く、値段は普通。日本…

「ふくろ 美久仁小路店」

この日の3年ゼミは、恒例の池袋フィールドワーク。まずは豊島区郷土資料館へ行って、ヤミ市模型を中心に池袋の歴史をふりかえる。そのあとは、西口広場、地下通路を通って東口広場、そして美久仁小路界隈と、ヤミ市ゆかりの場所を一回り。終点は、この店で…

「銀座ライオン 銀座七丁目店」

この日は、ふと思い立って、国立競技場跡地へ行ってみる。工事現場は多くが囲われているものの、運搬用の出入り口や、囲いが低い場所もあり、かなりの程度に見渡せる。荒涼たる風景。整地はまだまだ進まない。整地にすらこれほど時間がかかるのでは、あれほ…

サッポロ クラフトラベル

この日は、仕事のあと、一人で飲みに行く。まず行ったのは、池袋西口の銀座ライオン。最近、銀座ライオンで出すようになった新しいビールが、これ。 日本では、クラフトビールがなかなか普及しない。ビールの酒税率が異常に高いため、手ごろな価格で売ること…

「PUMP」

池袋に比較的最近できたクラフトビールの店。カスクから注ぐのは一〇種類で、濃色エール、淡色エール、ラガーとバランスよくそろえている。価格も、USパイントで八〇〇円からとリーズナブル。「CRAFT BEER AND AMERICAN FOOD」と看板にあり、メインの料理は…

「祭一番」

池袋に、奥能登出身の祭好きがやっている店があるというのは、ネットで調べて知っていた。実際に入ったのは、今回が始めて。 店主に話しかけて能登出身だというと、こんな会話がはじまった。「能登のどこです」「珠洲」「え、珠洲のどこですか」「飯田」「え…

「じゃのめ」

日本酒ブームといっていいだろう。入りやすい、比較的安価な名酒居酒屋が増えている。ここも、そのひとつで、オープンして一年半ほどになる。私は今日が初めて。 日本酒は半合グラスで四八〇円均一。均一価格だから、辛口本醸造など、ものによっては割高。日…

新編著『戦後日本社会の誕生』

私としては、三冊目の編著となります。単著を含めると、一三冊目でしょうか。本書はSSM調査(社会階層と移動全国調査)のデータを用いて、戦前から戦後にかけての日本社会の転形過程を計量的に明らかにしようとするものです。 一九五五年に始まったSSM調…

「第二宝来家」で番組収録

ピーター・バラカンさんがナビゲーターを務める外国人向け教養番組「Japanology plus」で、居酒屋を取り上げることになり、この日は番組の収録。スタッフおよびバラカンさんと、新宿・思い出横丁で待ち合わせ、思い出横丁をしばし散策したあと、「第二宝来家…

江古田「ロマンス食堂」

吉呑み初体験のあと、散歩がてらに池袋まで歩いて帰ろうかと、歩き始めたところで見つけた店。名前の通り定食や丼物が中心のようだが、当然酒も飲める。ひととおり揃っていて、酎ハイ類が三九〇円、本格焼酎が三種類で五五〇円、スーパードライ中瓶が六〇〇…

「吉呑み」初体験

大学からの帰り、練馬で降りて梯子酒。途中、吉野家を通りかかると、「吉呑み」のポスターがある。都心だけじゃなくて、こんなところでも始めたかと、入ってみた。 ホッピーセット(四〇〇円)を注文すると、ご覧のようにちゃんと冷えたジョッキで出てきた。氷…

純米酒フェスティバル

株式会社フルネットが事務局を勤め、純米酒普及推進委員会が主催するイベント。今回が第三一回とのことだが、私は初めて参加。全国から三九蔵が参加し、多くの蔵はそれぞれの最高グレードの純米酒、純米吟醸、純米大吟醸を出品した。主だった参加蔵は、玉乃…

石神井川の夜桜と「やきとん万備」

今年も、石神井川へ桜を見に行ってきた。まずは夕方の明るいうちに行って、ひととおり見て回る。それから「やきとん万備」へ行って、モツ焼きと煮込みをいただきながら、サッポロラガーを一本と、黒ホッピー。開店直後に行ったときはさほど客がいなかったが…

荒木町「タキギヤ」

この日は、仕事の打ち合わせ(?)で、荒木町へ。よそ者には敷居の高い場所だが、近くに住む人が案内してくれた。一軒目はビルの中の割烹居酒屋で、味は悪くないが、あまりコスパが良くない。いろいろ散策して、入ったのがこの店。 酒の品揃えがいい。定番酒が…

さよならニユートーキヨー数寄屋橋本店

この日、「若手の夜明け」のあとは銀座へ。ニユートーキヨー数寄屋橋本店が今日限りで閉店するというので、駆けつけたのである。超満員で入れないかと思ったが、運良く客の切れ目にあたったらしく、待つこともなく入ることができた。 この店は、三〇歳前後の…