橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

新編著『戦後日本社会の誕生』

私としては、三冊目の編著となります。単著を含めると、一三冊目でしょうか。本書はSSM調査(社会階層と移動全国調査)のデータを用いて、戦前から戦後にかけての日本社会の転形過程を計量的に明らかにしようとするものです。
一九五五年に始まったSSM調査は、二〇〇五年までに六回を数え、カバーする調査対象者の出生年は、実に一八八五年から一九八四年の一〇〇年間にも広がっています。これはすでに、第一級の歴史的資料といっていいでしょう。とくにSSM調査の最大の特徴である職歴データなどは、職業的キャリアに関する長時間をかけた聞き取り調査にも匹敵するほどの情報量があります。そこで戦前から戦後にかけて生きた多くの人々を含む一九五五年と六五年のデータを中心に、「戦後日本社会」が誕生した過程を明らかにしようというのが、本書の目的です。私たちはこれを「戦後社会形成史」と呼んでいます。ご一読を。

戦後日本社会の誕生

戦後日本社会の誕生