橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

飯野亮一『居酒屋の誕生──江戸の呑みだおれ文化』

これは、居酒屋に関する初の本格的な歴史書といっていい。断片的な情報を集めたものではない。江戸期の文献を幅広く渉猟し、江戸期における居酒屋の全体像を描いている。これはひとつの偉業である。 居酒屋の起源についてしばしば言われるのは、江戸は労働者…

「トルコアズ」

池袋にはかつて、老舗のトルコ料理店「カッパドキア」があって、私が初めてトルコ料理に目ざめたのはこの店だった。しかし、場所が悪かったのかすでに閉店。この日向かったのは、この店である。実は以前、ランチを食べに行ったことがあって、乾いてパサパサ…

椎名町「四文屋」

椎名町に「四文屋」が開店した。焼きとり、焼とん、焼ぎゅうと三種類揃った業態で、メニューと値段は、もちろん他店と共通。住宅地だけに、表の看板には「おもちかえり やっています」を前面に出している。 さっそく入ってみたが、六時頃という時間の割には…

神保町「源来酒家」

この日は菱田春草展を見に竹橋へ行き、帰りはこの店へ。昔からときどき来ている中華料理店である。かつては日教組御用達の店で、役員たちと何度か来たことがある。 中華料理といっても、ここの料理は上海の近くの寧波という土地の料理で、薄味の味付け。とく…