橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

椎名町「かど」

灯台もと暗しというべきか、大学のある江古田からわずか二駅目の椎名町は、いろいろ居酒屋があるとわかっていながら、まだ一度も行ったことのない地だった。そこで今日は大学で仕事を終えた後、ふと思い立って居酒屋探索に出かけることにする。Kという店が第…

恵比寿「縄のれん」

今日は、恵比寿ガーデンプレイスの東京写真美術館へ東松照明の企画展を見に出かける。これについては別のブログを見ていただくとして、帰りにちょっと寄り道を。恵比寿のもつ焼きといえば、まずここ。前回来たのは八月だったから、四ヶ月ぶり。相変わらず、…

ゴールデン街「H」

前にも書いたが、ゴールデン街は新宿東口にあった竜宮マートというヤミ市の飲み屋が移転したもの。ヤミ市オフの最後は、ゴールデン街でしめることにする。この店は元衆議院議員の長谷百合子さんが経営する店で、花園一番街中ほどの二階にある。あまり一般向…

「第二宝来家」

バーチャル居酒屋「とり橋」オフ・ヤミ市篇、二軒目は新宿に移動し、やきとり横丁の「第二宝来家」へ。やはり、ヤミ市時代に開業した新宿の焼きとん屋元祖だから、ここは外せない。山城屋さんが別の飲み会のため席を外し、初対面の人ばかりとなったが、大い…

浅草「鈴芳」

今日は、私が開いているバーチャル居酒屋「とり橋」のオフ会。午後三時半に浅草の雷門前で待ち合わせ、集まったのは、山城屋さん、ゆーこさん、大瀧さん、右近さんの四人。まずは煮込み通りへ向かい、有名店の「鈴芳」へ。最初は、生ホッピー(五五〇円)で乾…

『TOKIO古典酒場 闇市・横丁編』発売イベント

先日、早稲田でヤミ市酒場についての座談会をやったが、その記録を含む『TOKIO古典酒場』第三弾が、11月29日に発売される。発売にあたって、都内のいつかの書店でフェアが開催されるので、お近くにお勤めの方または飲みに行く方は、ぜひご参加を。30日の新橋…

江古田「お志ど里」

先日は毎日新聞の鈴木琢磨記者とここで飲んだのだが、あとでその時のことを書いた記事を見ると、「鬼の絵があった。酒杯をひっくり返し、最後の一滴まで飲もうとしている。先生そっくりで笑った」とある。そんな絵、あったっけ?と気になっていたのだが、今…

目黒「ホルモン道場 闇市倶楽部」

目黒駅に近いビルの前を通りかかった時、「ホルモン道場 闇市倶楽部」という文字が目に入った。これは、ヤミ市時代から続いている店なのか、それとも「闇市」を看板に掲げただけなのか。さっそく地下街に入ってみると、ヤミ市の移転先としか考えられないよう…

目黒「とり薪」

先日、クドウヒロミさんの「モツ煮狂い」という小冊子について情報を募ったところ、ある方から「目黒区立図書館に所蔵されている」との情報をいただいた。というわけで仕事を早々に片付け、目黒へと急ぐ。所蔵しているのは目黒駅から徒歩一〇分くらいの「目…

長野「圭屋」

これも、長野駅近くの店。洋風の玄関の上部には「KEIYA」と金文字で店名が掲げられ、右側には「圭屋」と朱塗りの小さな看板。おしゃれな外観だが、左側は半ばオープンエアで中がよく見えるので、気軽に入れる。酒の品揃えがいい。「九平次」「十四代」「黒龍…

長野「とくべえ」

長野の夜、二軒目に入ったのはやはり駅の近くの「とくべえ」である。目立たない店構えに、縄のれん。余所者を寄せ付けないような雰囲気を少しばかり感じさせるが、磨りガラスから漏れてくる光に惹きつけられ、思い切って戸を開けてみる。その瞬間、この店は…

長野「もみじ茶屋」

今日は授業を終えた後、新幹線で長野へ。部落解放同盟の部落解放研究全国集会で講演を頼まれたからである。解放同盟関係で仕事を頼まれたのは、今回が初めて。長野は思ったより近く、大学を5時前に出て池袋から湘南新宿ライナーで大宮に出ての乗り換えたとろ…

ありがとうございました。

複数の方から「モツ煮狂い」についての情報をいただきました。実物を入手することはできませんでしたが、都内のある図書館に所蔵されているとの情報をいただき、早速閲覧してきました。情報をいただいた方々、ありがとうございます。また今回、同好の熱心な…

引き続き求む『モツ煮狂い』

よろしくお願いします。なにしろ巻頭の文章が「モツ煮の歴史と荷風の見た東京」とか。これは読まないわけにはいきません。情報、あるいは「手元にあるので譲ってやってもいい/しばらく貸してやってもいい」というお申し出をお願いします。

求む『モツ煮狂い』

先日からクドウヒロミという人が執筆・制作した『モツ煮狂い』という小冊子を探している。モツ煮を通じて東京の都市文化・地域文化を論じたものらしく、ぜひ読みたいのだが、一般の書店にはなく、以前は置いていたらしい書肆アクセス、新宿・模索社、中野・…

阿佐ヶ谷「川名」

以前からぜひ行ってみたかった店である。なにしろ、居酒屋ブログ界のエース・「居酒屋礼賛」の浜田さんがいちばん足繁く通う店である。いい店に違いない。阿佐ヶ谷駅の北口を出て、歩くこと約六分。目指す店はすぐに見つかった。ただし、最初は満員で入れず…

西荻窪「戎」

「晩小屋」の次は、「戎」へ。有名な店だが、私は今回が初めて。駅の南口を出て右方向へ少し歩いた道の両側に、「戎」が四軒ある。私が入ったのは、道の向かって左側の一軒。屋台風の店内は狭く、平行に向かい合った木のカウンターが二本。濃く変色した壁、…

西荻窪「晩小屋」

今日は夕方から、資料を探しに中央線沿線のミニコミ専門書店をいくつか回る。目当ての資料は、残念ながら見つからなかったので、予定通り居酒屋探索に切り替え(笑)。最後に立ち寄ったのが西荻窪の「信愛書店」だったので、その周囲を探索していると、蠱惑的…

高円寺「素人の乱・セピア」

雨宮処凛の本を読んだ人なら、高円寺でフリーターやニートの若者たちが始めた、「素人の乱」というリサイクルショップや古着屋などの商店群のことをご存じだろう。高円寺駅の北口を出て、ガード北側の飲み屋街に入り、そのまままっすぐ行くと、だんだん店の…

「きくや」と小沢辞任

八時頃、仕事を終えて下高井戸へ。「きくや」でハイボールとホイスを飲む。肴は、そろそろ美味しくなってきた金目鯛。相変わらず、地元の中高年でにぎわっている。奥の座敷では、学生たちが大騒ぎしている。入り口をはさんで両側に分かれる構造の店だから、…

高円寺「四文屋・大一市場店」

今日は出版社の編集者とともに、高円寺へ。今回は、とくに具体的に企画があるわけではなく、ほとんど出版情勢やら新書の現状についての雑談だけ。行く店は決めていなかったのだが、北口をぶらぶら歩きながら店を物色していると、「四文屋」の看板が目に入る…

毎日新聞社横の屋台

千住の次は、竹橋の毎日新聞社へ。毎日新聞社の入っているパレスサイドビルの横の吹きさらしに、酒と簡単な肴を出す屋台がある。ここで最後の締めというわけである。もちろん、記者たちのたまり場である。一般人が足を踏み入れる場所ではない。記者に連れら…

「千住の永見」

今日は、出版の打ち合わせで北千住へ。編集者二人と「大はし」の前で待ち合わせたが、案の定満員で入れない。そこで駅の方向へ引き返し、「永見」へ。前回は去年の七月だから、ずいぶん久しぶりだ。今日は一階が満員で、二階に通された。二階へ行くのは初め…

大阪・梅田「大阪屋」

いったんホテルでチェックインを済ませ、また新梅田食道街へ。今度は、道路に面したところにある立ち飲み屋「大阪屋」である。活気がある。入り口のあたりには小皿料理が並び、周りに人が群がっている。スーツにネクタイ姿のサラリーマンがいる。ネクタイを…