橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

深川周辺

門前仲町「おはしkitchen」

久しぶりの門前仲町、二軒目はどこにしようかと歩いていて、見つけたのがこの店。 一見したところは洋風の店構えだが、実はおばんざい中心の和食と日本酒の店。日替わりのおばんざいは一〇種類あり、この日のメニューは「五目ひじき煮」「苺の白和え」「レン…

門前仲町「ますらお」

今日は、久しぶりに門前仲町で飲むことにした。まず向かったのは、最近話題の立ち飲み屋「ますらお」。魚三酒場の裏手のビルの二階で、メニュー付きの看板が出ているからすぐ分かる。 まずはプレミアムモルツの中ジョッキ(四〇〇円)をいただき、本日おすすめ…

住吉「山城屋酒場」

この日は入試関係の会議のあと、少し空き時間があったので、東京都現代美術館で開催されている特別展「アートと音楽」を見に行く。評判通り、セレスト・ブルシエ=ムジュノの「バリエーション」は素晴らしい。大小さまざまな白磁のボウルが、水面をたゆたい…

木場「つちや」

この日の三軒目は、木場のこの店。「寿し炉端」と称し、元来は鮨屋のようだが、魚料理を中心にメニューが豊富で、日本酒も揃っている。 この日の刺身は、くるりと捻れていかにも生きのいい赤貝、ほとんど生に近いしめ鯖、太い脂の筋が走る大トロ、透明なホタ…

門前仲町「ゆうちゃん」

この日は、まず下町フィールドワーク。浅草からスカイツリーの前を通り、ここから京島・橘銀座界隈へ。さらに東へ進んで旧中川に至り、現中川との接続の様子を確認してから、旧中川沿いに南下する。亀戸天神で亀の大群を観察し、そこからさらに南下して運河…

森下「魚三」

というわけで、この店で口直し。魚三は門前仲町の本店が有名だが、私はこちらの方がゆったり落ち着けるので好きだ。店のおばちゃんたちの手際が悪いので、注文しづらいのは難点だが、門前仲町のように頭ごなしに怒られるようなことはない。この店にしては遅…

森下の山利喜ビル

何年ぶりかで山利喜を訪れてみたら、ビルになっていた。古い建物を改装し、吹き抜けのある二階建てにして、雰囲気を残したままうまく店を広げたなと思ったのは、何年前のことだったか。ところが、今度は完全な建て替えである。五階建てのビル、しかもギリシ…

門前仲町「辰巳新道」

門前仲町の交差点の近く、永代通りから二本北寄りの道から横に入ったところにあるのが、この辰巳新道。小さく古い居酒屋がびっしり並んだ小路で、以前から、戦前からの飲み屋街なのか、それともヤミ市起源なのかと、疑問に思っていた。浜田さん行きつけの店…

門前仲町「大坂屋」

今日は、「古典酒場」の座談会で、まず早稲田の「加賀屋」へ。今日のテーマは「下町酒場・山の手酒場」で、東京の東西・台地の上と下での居酒屋の違いなどにふれながら、結局は雑談。なんとか倉嶋編集長がまとめてくれるだろう(笑)。二次会は、ちょうど東西…