橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「絶対再建できる」 陸前高田・酔仙酒造

近所の酒屋で偶然手に入ったのが、この酔仙・純米酒。もう当分、もしかすると二度と、手に入らないと思っていた。量販店なので、店員がどういう酒かも知らずに倉庫から出してきたのだろう。製造年月は、一一年三月とある。震災の直前に出荷されたものらしい…

美味しく食べて、飲んで、みんなで日本を元気にしましょう!

知人の酒ジャーナリスト、山同敦子さんからこんなメッセージをいただきました。まったくその通りだと思います。震災の後、なじみの店から足が遠のきがちです。いい居酒屋がなくなってしまったら、東北地方が復興しても、酒や食材を仕入れることができません…

東北の酒を飲みましょう!

こんなメッセージをいただきました。転載させていただきます。東北の酒を飲みながら、他に何ができるか、これからどうすればいいか、考えてみたいと思います。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− この度の東北地方太平洋沖地震で被災されたすべての地域…

「加賀屋 西武新宿店」

新宿では以前、西新宿店に入ったことがあるが、こちらは初めて。西武新宿店といっても、西武新宿駅の入り口をかなり過ぎた場所にあるから、たまたま見つけてふらりと入ることはないだろう。ビルの二階で、細長いスペースの中央に厨房がある。 メニューは加賀…

新橋暮色

会議のため、丸の内へ。五時になると、会議の途中だというのに節電を呼びかける大音量のアナウンスが流れ、そそくさと終了する。東京駅の方は、五時きっかりに仕事を終えたサラリーマンやワーキングウーマンがごった返している。 銀座・新橋を歩いてみた。裏…

震災お見舞い

たいへんな被害ですね。被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。 日本酒の蔵も、被害を受けているようです。被害の大きかった陸前高田市には「酔仙」がありますが、大きな被害を受けたようです。また塩竃市の「浦霞」は、ホームページ上で被害状況…

大久保「呑吉」

大学の帰り、東中野の「みや」に立ち寄る。そのまま帰ろうかとも思ったが、ふだん行かない中央線の大久保に行ってみることにした。駅の周辺歩きまわって、目についたこの店へ。ホッピーの赤提灯の列が煌々と輝き、太めで力強い感じの縄のれん越しに店内が見…

高円寺「高円寺麦酒工房」

先日、岡山へ出かけた折り、「吉備土手下麦酒 普段呑み場」という地ビールの店へ行った。聞くと店主は、これまで地ビール造りを志す若者たちを何人か受け入れ、ビール作りを教えてきた。そしてその一人が最近、高円寺に店を開いたという。もちろん小規模のブ…

石原たきび「酔って記憶をなくします」

深酒すると、ときどき記憶をなくす。後から考えて、仕事の話をしたような気もするが、どんな話だったか。何を頼まれたのか。いろいろ暴言を口にしたような気もするが、何を言ったのか。たいがいの場合は、たわいのない話しかしていないのだが、二日酔の気弱…

大分「みどり」

夜も更けてきた。最後に行くのは、都町屋台街と決めていた。一〇年ほど前、地元の人に連れられて飲み歩き、最後にたどり着いたのがここである。二〇メートルほどの路地の両側に、小さな店が六軒ずつあり、白地に太い墨文字で統一された看板が並んでいる。居…

大分「楽天食堂」

中心街に戻り、もう一軒、肉料理を出す店へ行ってみることにした。それが「楽天食堂」である。焼肉屋で修業していた店主が、この店を開いたのは一〇年前。メニューの中心は豚、鶏、野菜などの串焼きと、湯布院産の牛タン料理である。なかでも牛タンステーキ…