大分「みどり」
夜も更けてきた。最後に行くのは、都町屋台街と決めていた。一〇年ほど前、地元の人に連れられて飲み歩き、最後にたどり着いたのがここである。二〇メートルほどの路地の両側に、小さな店が六軒ずつあり、白地に太い墨文字で統一された看板が並んでいる。居酒屋好きなら一目で気に入りそうな一角だ。入ったのは、左側のいちばん奥にある「みどり」である。
L字型カウンターに、何とか六人座れるだろうか。こんな小さな店なのに、煮物や焼魚、亀の手やわたり蟹など、たくさんの料理が並び、日本酒や焼酎はもちろん、スコッチウイスキーまで何種類かおいている。店を切り盛りする女将は、客の注文に次々に応じながらも、おっとりと余裕を失わず、それが店にくつろいだ雰囲気をつくり出している。こんな女将のいる店こそ、最後に行き着く居酒屋にふさわしい。
大分市都町3-5-9 18:00〜27:00 日祝休