橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

北千住

北千住「力安」

北千住には年に何回も来ているが、何しろ下町居酒屋の宝庫ともいうべき場所なので、行ったことのない店も多い。この店も、今回が初めてだ。 ありふれた店構えだが、紺に染められた暖簾をくぐって中に入ると、濃色系のインテリアがなかなか心地いい。新しい店…

「喜多八」

北千住の東口の商店街は、東京電機大学の東京千住キャンパスが建設されるなど再開発が進み、商店街の名前も「学園通り」「学園西通り」などと名前を変え、活気が出てきた。新しい居酒屋もいろいろ出来ている。来年春にはやって来る学生を目当てにしているの…

お化け煙突のモニュメント

居酒屋そのものとは関係ないが、古い居酒屋が好きな人なら、たぶん興味のある話題だと思う。 北千住の駅から歩くとかなり時間がかかるが、旧日光街道で「大はし」の前を通り過ぎ、商店街が終わるあたりで左に曲がって日光街道を渡り、そのまま西へ進んでいく…

「まるかや本店」のナンコツスモーク

松戸へ行ったからには、帰りに北千住へ寄らないと。新しい店を物色し、まず入ってみたのは「M」という店。「やきとり1本30円」の貼り紙にひかれたからで、店内は若者でけっこう繁盛している。焼鳥はたしかに安いが、これでは不合格。焼鳥は、ムネ肉の小片…

「まるかや本店」

さて、もう一軒、と路地を歩き回る。看板に誘われて細い路地に入ると、蠱惑的な赤ちょうちんと縄暖簾、そしてホッピーの暖簾が。そして、店先に置かれているのは、なんと生ホッピーの樽である。生ビールの樽はよく見かけるが、生ホッピーのものをみたのは初…

「大升」

久しぶりの北千住、二軒目に寄ったのは「大升」。「千住の永見」と同じく、北千住駅の西口から南へ降りたところの飲食店街、ときわ通りにある。コの字型を長く延ばしたカウンター一〇席ちょっとという狭い店だが、メニューが豊富。中心はモツ焼だが、もやし…

「千住の永見」の千寿揚げ

仕事のあと、久しぶりに北千住へ。やはり、三ヶ月の空白のあとはこういう場所にも行かなければという気になる。まさに巡礼といったところか。まずはサッポロラガー(五二〇円)でのどを潤し、注文したのはかつおの刺身と千寿揚げ。千寿揚げは魚のすり身と野菜…

「千住の永見」

北千住駅の西口を出て左側、線路とほぼ並行して、両側に小さな店が建ち並ぶ飲食店街がある。名前をときわ通りといい、大衆酒場の宝庫のようなところだ。この入り口に位置するのが「千住の永見」。千社札の字体でくっきり書かれた看板に、粋でいなせな店主の…

「大はし」

言わずと知れた名店。なぜか最近縁がなく、この一年くらいの間に満員で入れなかったことが二回あった。なので、けっこう久しぶり。しかし今日は、ビール一本と煮込み一皿だけで店を出た。なぜかというと、居心地がよろしくなかったから。この店、長身胴長で…

「千住の永見」

今日は、出版の打ち合わせで北千住へ。編集者二人と「大はし」の前で待ち合わせたが、案の定満員で入れない。そこで駅の方向へ引き返し、「永見」へ。前回は去年の七月だから、ずいぶん久しぶりだ。今日は一階が満員で、二階に通された。二階へ行くのは初め…

「幸楽」

北千住へ行った以上は「大はし」か「永見」へ行きたかったのだが、残念ながらお盆で休み。そこで向かったのが、「永見」の斜め向かいにあるこの店。駅の北口を出て左側、ときわ通りにある。永見とよく似た感じの大衆酒場で、料理の種類が多い。空豆、茶豆が…

「徳多和良」

今日は出版社の編集者と、打ち合わせと称する飲み会で北千住へ。まずはイトーヨーカドーの地下のコーヒーショップで二〇分ほど真面目に打ち合わせをしてから、近くの「徳多和良」へ。この店は「割烹くずし」を看板に掲げ、本格的な日本料理を出す立ち飲み屋と…

「千住の永見」

もつ煮込みとぬたを肴にビール2本を飲んで、「大はし」を出る。次に向かったのは、やはり北千住駅西口から左に入る飲食店街の入り口近くにある「千住の永見」。知名度はさほどではないが、やはり北千住を代表する大衆酒場である。「大はし」のように行列こそ…

「大はし」

北千住駅から西口に出て大通りをしばらく歩くと、通りは南北に延びる商店街と交差する。この商店街は旧日光街道で、宿場町の雰囲気を色濃く残している。そして北側、つまり駅から行くと右に折れた方のサンロード商店街に「大はし」がある。北千住で最も知ら…