橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「まるかや本店」のナンコツスモーク

classingkenji2010-07-20

松戸へ行ったからには、帰りに北千住へ寄らないと。新しい店を物色し、まず入ってみたのは「M」という店。「やきとり1本30円」の貼り紙にひかれたからで、店内は若者でけっこう繁盛している。焼鳥はたしかに安いが、これでは不合格。焼鳥は、ムネ肉の小片が三つと細いネギが二つ。貧弱なことおびただしく、パサパサして味がない。酒はというと、グラスに作ってきた飲みきりホッピーや酎ハイなど、すべて四九九円。他の料理はというと、煮込み一一一円、日替わり料理一〇円など安いものもあるにはあるが、その他は何でもないおつまみが五五五円だったりする。早々に退散するにしくはない。
続いて行ったのは「まるかや」。「加賀屋」で修行した主人が、独立して開いたもつ焼きと生ホッピーの店。写真は、この日いただいたナンコツのスモークで、これが絶品。塩加減、スモーク加減、火の通り方、そしてスライスの厚みに至るまで、すべてが文句ない。ホッピーとの相性もいいが、あるいはウイスキーハイボールの方がよかったかもしれない。他の店でも、作ってみては?(2010.7.3)

足立区千住2丁目62
17:00〜23:00 月休