橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

北千住「力安」

classingkenji2011-08-19

北千住には年に何回も来ているが、何しろ下町居酒屋の宝庫ともいうべき場所なので、行ったことのない店も多い。この店も、今回が初めてだ。
ありふれた店構えだが、紺に染められた暖簾をくぐって中に入ると、濃色系のインテリアがなかなか心地いい。新しい店らしいが、古さをうまく演出している。全体に安く、もつ焼きは一本一〇〇円、煮込み三八〇円、レバ刺し、ガツ刺し、コブクロ刺し、タン生たたきが三八〇円。レバ刺しは、ちゃんと出していた。ホッピーセット三九〇円、酎ハイ二九〇円、レモンサワー三三〇円。焼酎のキープがあって、キンミヤはなんと一三〇〇円だった。キープしたい誘惑にかられるが、ぐっとこらえる。もつ焼きを塩で注文すると、黒っぽい陶器の角皿に盛り、辛子味噌を添えて出してくれた。なかなか色つやがよく、味は水準を行っている。暑いので遠慮したが、スタミナ鍋が自慢らしく、つくね鍋七八〇円、もつ入りつくね鍋九八〇円で、一人前から注文可とのこと。寒くなったら、また来てみよう。営業時間は詳しくは分からないが、一五時からやっているらしい。すぐ近くに二号店もある。(2011.7.22)

足立区千住1-31-4