橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

新橋周辺

「魚と酒 はなたれ」

この日は築地の朝日新聞社で、『下流老人』の著者、藤田孝典さんと対談。その模様は、AERAの2018年2月26日号でお読みいただける。終わったあとは、新橋で飲む場所を探す。いろいろ徘徊したあと、見つけて入ったのがこの店。カウンターが一席空いているだけの…

新橋「やきとん玉や」

この日は、「酒類ビジネス新春セミナー」という業界向けのイベントで講演を頼まれ、新橋へ。高度経済成長期には格差が縮小し、とりあえずビール、次に日本酒という飲酒習慣が全国民に広がり、「酒中流社会」が実現した。しかしその後、格差拡大・貧困の増大と…

オクトーバーフェストinお台場

五月なのに?という疑問はさておき、オクトーバーフェストへ行ってきた。ビールの味は、まあ期待どおり。本場のヴァイツェン、デュンケルはなかなか飲めないし、バンドの演奏も楽しく、場内は盛り上がっている。それでも、一杯一三〇〇円は高すぎ。私など、…

ヤミ市研究会 in 新橋

今日は、東大の建築史研究室でヤミ市研究会。若手の研究もだいぶ形が整ってきて、出版計画もメドが立ってきた。 研究会の後の実地調査は、有楽町から新橋のガード下と新橋の駅ビル。丸三横丁を見学した後、有楽町ガード下の登運とんの横からガードの真下に入…

虎ノ門「サラマンジェ」

今日は、知人の日本人・フランス人夫婦と、虎ノ門のフレンチへ。この夫婦(とくに夫)、フランス料理には強いこだわりがあり、いい店をいろいろ探してくる。この店は虎ノ門の駅の近くだが、路地裏の分かりにくい場所にある。 日本人向けに味は穏やかに、量は少…

新橋「身知らず」

森まゆみさんの『望郷酒場を行く』に紹介されていて知ったのが、この店。会津料理を出す新橋の居酒屋である。店主の山田信彦さんは会津出身で、一〇年ほど前に脱サラして開店した。店内には、会津の観光ポスターが所狭しと貼られていて、メニューにも鰊の山…

新橋暮色

会議のため、丸の内へ。五時になると、会議の途中だというのに節電を呼びかける大音量のアナウンスが流れ、そそくさと終了する。東京駅の方は、五時きっかりに仕事を終えたサラリーマンやワーキングウーマンがごった返している。 銀座・新橋を歩いてみた。裏…

新橋「魚金本店」

今日は、昨年の十一月に満員で入り損なった「魚金本店」へ。知人の日本人とドイツ人の夫婦(海外在住)が、日本へ来ているというので、妻と四人で飲み会である。夫のほうは、初対面。 魚は、やはり美味くて安い。日本酒の種類も、季節ものを含めてけっこうある…

新橋「魚金新店」

今日は東京駅近くで会議があり、そのあと妻と待ち合わせて新橋へ。魚を食べようということで、魚金本店に行くと、満員。店員がすぐに新店に電話をし、空席があるというのでそのまま連れて行ってくれた。近いとはいえ、行き届いたサービスである。 注文したの…

浜松町「名酒センター」

浜松町の文化放送で番組収録の後、どこへ行こうかと考える。せっかく浜松町に来たのだから、ここに寄ってみよう。前回来たのは二〇〇六年の秋だったから、ほぼ四年ぶりになる。 内装が少し変わったようだ。L字型のカウンターができて、すっきりした感じだ。…

汐留「BEER DINING LION 汐留店」

今日は高田馬場で講演をしたあと、勝どき・月島方面へ。先日、カレッタ汐留のレストランで湾岸のジェントリフィケーションの様子を上から観察したので、今度は下からじっくり見てやろうというわけである。上から見ると、超高層ビルが林立しているように見え…

汐留「BICE」

今日は知人の経営する会社のパーティーに招かれて、汐留のイタリアンへ。ここはミシュランガイドで星を一つ取った店で、私にとっては初めての星付きレストランということになる。立食形式のパーティー料理のせいかもしれないが、味はまあまあといったところ…

「菊三八」

新橋東口にある新橋駅前ビルは、当時まだ残っていたヤミ市直系の飲食店街を再開発して、一九六六年に完成した。その地下街は、細い路地が入り組んで、元の飲食店街をそのまま地下に移設したような趣がある。ヤミ市起源の雑居ビルは数あるけれど、これほど昔…

新橋「かおりひめ」

取材で今度、松山へ行くことになった。松山は、初めての土地だ。ちょっと予習をしていこうというわけで、新橋にある愛媛・香川のアンテナショップ「せとうち旬彩館」へ行く。 一階は特産物売り場で、お菓子、漬け物、干物、酒・焼酎などが所狭しと並んでいる…

「立ち呑み 活力魚金」

最近ではあちこちに店を出すようになった魚金グループだが、その本拠地は新橋。本店はじめ、いくつかの店舗があるが、この五月にオープンしたのが、この立ち飲み屋。明るくて活気がある。 入ってまず、麦焼酎の「兼八」(六〇〇円)をロックで注文し、次に刺身…

「カミヤ」

二軒目は、ここ「カミヤ」へ。同名の店が都内にいくつかあるが、同じスタイルを踏襲している。それは、店に入った最初に、串を一〇本注文しなければならないこと。といっても、一本八〇円だから、八〇〇円。付け出しに三〇〇円取られるような店のことを考え…

「鳥広」

今日は、先日に続いて新橋へ。烏森神社付近を歩くと、前回入った「鉄火場」は、まだほとんど客が入っていないのに、その隣の店はもう満員に近くなっている。この店が、「鳥広」。入ってすぐ右にカウンターが六席分あり、左側にはテーブル席が奥まで続き、い…

「青樹」

ニュー新橋ビル横を通り抜けた新橋の南側は、けっこうディープな地域で、あまり足を運ぶことがない。地酒を多く揃えた店のさきがけのひとつである「さんの蕗」には、昔ときどき行ったが、最近はすっかりご無沙汰。かつては風俗系の店が多かったという記憶が…

「ささ亭」

二軒目は、この店。烏森神社の参道には、ヤミ市時代の店が、ほぼそのままの地割りで建て替えられたような飲食店が並んでいるが、そのなかの一軒である。それだけに、敷地は狭い。一階はカウンター四席と、四人掛けテーブル一卓のみ。二階には座敷があるらし…

「鉄火場」

というわけで、最初に入ったのはこの店。このあたりでは、大きい方の店だろうか。店先の看板には、「やきとり もつやき 一品料理」とある。入るとすぐ左に四人掛けのテーブルが二卓あり、その先に一直線のカウンター一二席。奥には八人くらい座れそうなテー…

烏森神社付近

今日は、ふと思い立って新橋へ。 新橋は、東京でも最大級のヤミ市があった場所である。ヤミ市といっても、物資を売る店よりは飲食店が中心で、文字通り最大のヤミ市盛り場だった。ヤミ市起源の居酒屋・商店街は、一九六〇年代まで残った。その多くは、新橋駅…

ニュー新橋ビル

このビルは、一九七〇年頃まで残っていた新橋駅西口のヤミ市起源の大飲食街を再開発して、一九七一年に完成したもの。このため、一九六六年に完成した東口の新橋駅前ビルと同様、内部にヤミ市の香りを色濃く残している。地下の飲食店は、通路が縦横斜めに通…

新橋「立ち呑み ごひいきに」

福島から東京に戻り、銀座で日経の記者と待ち合わせ。七丁目の「ライオン」に入り、取材を受ける。テーマは、「なぜ居酒屋の一合は、店によって量が違うのか」(笑)。徳利というのはもともと、量り売りのための計量容器だったわけだが、天保年間に湯煎で燗を…

新橋駅前ビル地下街

編集者たちと別れ、もう一軒と、新橋駅前ビルの地下街へ。ここは、ビルの中の飲食店街と言うよりも、地上の飲み屋街がそのまま移設されたかのような雰囲気だ。横には小さな路地のような通路すらあって、呑兵衛好みの場所である。それもそのはず、ここは王長…

「虎ノ門 升本」

今日は、新聞社の人と出版の打ち合わせで虎ノ門へ。あわただしく急用を終えて、池袋から向かったのだが、有楽町線に乗って永田町で銀座線に乗り換えればいいだろうと思っていくと、乗り換えの遠いこと。半蔵門線のホームを端から端まで通り抜け、さらに歩く…

「名酒センター」

今日は「月刊ビミー」のインタビューで、浜松町の「名酒センター」へ。近くまで行くと、代表取締役の武者英三さん(写真右)が、店の前で待っていて出迎えてくれた。「名酒センター」は、株式会社ヤングマーケティング研究所の経営する日本酒のPRセンターで…

ガード下の「羅生門」

銀座のビアホールの次は、どこへ行こうか。一年ほど前までだったら、たいてい松屋通りの「山形の酒蔵」へ寄るところである。この店は松屋通りから横へ、路地とも呼べないほどの細い隙間から地下に降りたところにあった。引き戸を開けると、そこにはまるで、…