橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2010-01-01から1年間の記事一覧

『めしとも』2011年1月号

引き続き雑誌の紹介を。グルメ系の中でも、B級色の強い雑誌だが、今回の特集は「底なし!グルメ街ランキング」。東京のいくつかの街を取り上げて、ベスト20、ベスト10などを紹介するという企画だが、街の選定がユニーク。冒頭に持ってきたのは新橋だが、次…

『東京人』2011年1月号

特集は「東の横丁 うまい店」。もちろん、スカイツリーを意識した特集で、記事は押上から始まる。取材と執筆は、太田和彦。太田によるとこのあたりでは、ここ数年、昔ながらの長屋アパートに澄む芸術系の若い人が増えたという。谷根千にも通ずる動きというこ…

野方「すっぴん酒場」

野方でもう一軒と、入ってみたのがこの店。もつ焼き中心の立ち飲み屋だが、店主は有名店で修業したとのことで、レベルは高い。もつ焼きは種類が多く、一本一〇〇円。レバ刺し(四〇〇円)はピンと角が立ち、新鮮そのもの。ホッピーセットが三八〇円と安いのも…

野方「秋元屋」

最近、「ひなた」「たつや」など、秋元屋から独立した人の店ばかり行っていたので、久しぶりに本家本元を訪ねてみることにする。野方の駅から南側の商店街に出て、すぐに左へ入れば、少し離れた場所に赤提灯が見える。 相変わらず、繁盛している。入って左側…

麻布十番「ふじ嶋」

三田小山町から麻布十番へ。表通りはきれいになったが、裏に回れば古い街並みが残る。歩くうちにときおり、低い建物の屋根の上に六本木ヒルズが頭を出す。そんな一角に見つけたのが、この店。看板に「芝浦直送 新鮮朝〆ホルモン串焼き」とあり、ホッピーとジ…

三田小山町

都営地下鉄大江戸線の赤羽橋と麻布十番の中間あたりに、この都心部には奇跡的とも思われる狭小な住宅の密集する地域がある。三田小山町である。再開発計画はあるようだが進行しておらず、現在も「町こわし再開発反対」ののぼりがところどころに立っている。…

「日本橋紅とん 池袋東口店」

今日は三年前の卒業生の同窓会に呼ばれて、池袋へ。コース料理と飲み放題の店で一次会の後、「二次会は先生にお任せ」というので美久仁小路へ行ってみたが、あいにく「ふくろ」は満員。そこで入ったのが、この店。もつ焼き大衆酒場を模倣したチェーン店で、…

「てんてん」

今日は、大学の忘年会。一次会は駅近くのフレンチで、終わった後どこかで二次会をやらないかということになったが、めぼしい店はすでにラストオーダー近い時間だ。そこで入ったのが、この立ち飲み屋。 一枚百円のチケットを買い、チケット・オン・デリバリー…

「馬力」

今日は、仕事のあと池袋へ。どこか新しい店がないかと歩きまわり、見つけたのがこの店である。錦糸町の有名店の支店とのことで、本店を紹介した雑誌記事が店頭に張り出してある。悪くなさそうなので、入ってみる。 まずはホッピーセット(三九〇円)を注文して…

西荻窪「戎」

今日は推薦入試の面接で、朝から夕方まで大学で拘束され、三人ほど連れだって慰労会ということで西荻窪へ。入ったのは、南口の飲食店街にある「戎」である。 この店については、以前も書いたことがある。ヤミ市起源の老舗で、増築を繰り返して現在は四軒から…

岡田准一さんと対談

一二月一二日(日)の深夜、FM J-WAVEの「Growing Reed」という番組で、俳優の岡田准一さんと対談します。テーマは居酒屋で、収録はもう終わりましたが、けっこう話が盛り上がりました。番組の案内は、こちら。Latest Growingというところをクリックすると、私…

板橋「ホルモン千石」

今日は、出版社との打ち合せで板橋へ。まずは編集者と、JR板橋駅周辺のヤミ市跡と、武蔵野台地の端にあたる中山道近くの谷地を探索してから、名店「北海」へ。ここで企画について話をまとめた後、二軒目に向ったのがこの店。 以前は「おいで屋」という店だ…

沼袋「鳥はし」

仕事のあと、タクシーで沼袋へ。いったんは駅の近くまで乗ったのだが、途中で見かけた大衆酒場風の店が気になり、小雨の降るなかを歩いて引き返す。たどり着いたのが、この店だ。実は私、「居酒屋 とり橋」というバーチャル居酒屋(要するに掲示板)をやってい…

名古屋「大甚」

先々週に続いて、名古屋出張。仕事を終えて、伏見駅そばの「大甚」へ向う。週末のせいか、五時前というのにもうほとんど満員状態。一人の初老の客が入り口の戸を開け、中をのぞき込むなり諦めて引き返してくる。あ、だめかと思ったが、いちばん奥の隅が一席…

下北沢「スローコメディファクトリー」

今日は、「経堂系ドットコム」を運営するコメディライター、須田泰成さんが経営するカフェ、「スローコメディファクトリー」へ。トークショーへの出演を頼まれたからである。下北沢北口を出て、線路沿いを進むが、だんだん寂しい雰囲気になってきて、道を間…

名古屋「元気酒場 呑んき」

三軒目を求めて、栄の街をさまよう。黒板に「名古屋名物 手羽先唐揚げ 名古屋コーチン串 味噌串カツ どて煮」などとあり、しかも酒のメニューにホッピーがあるというので、入ってみたのがこの店。外観からすると、地元の個人が経営する大衆酒場という感じな…

名古屋「富士子」

二軒目はどこにしようかと栄界隈を歩きまわるが、なかなか適当な店が見つからない。このあたりでどうかと、入ってみたのがこの店。周りには呼び込みの兄ちゃんたちが何人もたむろしているが、気にせずに中へ。ビール中瓶と中生が六三〇円、酎ハイ類が五〇〇…

名古屋「大酒場 だるま」

仕事で、名古屋へ。名古屋といえば名店「大甚」だが、これは別の日に取っておくとして、ちゃんと探索したことのない栄界隈を物色する。名古屋は居酒屋不毛地帯といわれることがないではないが、たしかに心惹かれる居酒屋は少ない。まずは行ってみたのが、こ…

「笑和堂」

経堂駅からの帰り道、見慣れない看板を見つけた。「樽生エーデルピルス」という文字に惹かれて、入ってみることにする。 ビルの二階の店内は、白木を使ったいかにも手作り風のインテリアで、カウンター席が五つほどと、テーブル席。エーデルピルス(六五〇円)…

「加賀屋 西新宿店」

「こがね屋」の近くに、加賀屋があった。通りの先は、西新宿の超高層街。こういう落差のある風景は西新宿にはよくみられるが、現代の東京を象徴している。 中はけっこう広く、カウンターが一二席と、テーブルが八卓ほど。メニューも、加賀屋によくあるものは…

「こがね屋」

今日は、ふと思い立って、新宿西口から小滝橋通りに出て、大久保方向へ行ってみる。この界隈、新宿の高層ビル街の建設当時は労働者の街だったところ。あまり行く機会がないが、居酒屋が点在していて忘れてはいけない場所だ。まず入ったのは、「おとなの週末…

小岩「立ち呑み酒場 さくら」

そろそろ帰ろうかと小岩駅方向に歩いていて、見つけたのがこの店。手前にはテーブル席があるが、メインはその奥のカウンターでの立ち飲みのようだ。ホッピーセットが二八〇円、ハイボールが二六〇円、酎ハイは一六〇円、清酒二一〇円など、安い。料理もいろ…

小岩「大竹」

今日は営業活動で西葛西へ。ここまで来て、まっすぐ帰ることはない。そういえば、江戸川区で縦(南北)方向の移動はしたことがなかったなと気がつき、バスに乗ることにする。西葛西から船堀へ、一度乗り換えて新小岩へ。今度は総武線に乗って小岩へ。駅周辺を…

新橋「魚金新店」

今日は東京駅近くで会議があり、そのあと妻と待ち合わせて新橋へ。魚を食べようということで、魚金本店に行くと、満員。店員がすぐに新店に電話をし、空席があるというのでそのまま連れて行ってくれた。近いとはいえ、行き届いたサービスである。 注文したの…

江古田「四文屋 江古田南口店」

昨日、四文屋江古田1号店にホッピーがあるという話を書いたが、すぐにさとともさんという方から、新しくできた江古田南口店にもホッピーがあるとコメントをいただいた。ちょうど、今日は五時過ぎに雑用が終わったので、行ってみることに。南口を出て、線路沿…

江古田「四文屋 江古田1号店」

何度も来ているこの店、江古田駅の改修にともなって閉店になると聞いていたが、まだ営業している。閉店予告の貼り紙があったはずだが、今日は見あたらない。ということは、閉店せずに済むことになったのか。店が増えても相変わらず繁盛しているのだから、移…

沼袋「ホルモン」

大学から近いことに気付き、ときおり出かけるようになった沼袋。今日は、ちょっと有名なこの店へ。紺地に白で縁取った「ホルモン」の赤文字が堂々たる風情である。 店内は並行カウンターとテーブル席がいくつか。もつ焼きは一本一一〇円だが、レバーとコブク…

『おとなの週末』2010年11月号

『おとなの週末』が快調だ。今月の看板特集は「大満足の居酒屋」。単に「いい店」を並べるだけでなく、企画にメリハリがある。取材で新たに見つけた新しい「名店」、広く知られている老舗をひととおり回っての再評価、創刊から九年間に掲載した居酒屋をひと…

松茸と牛肉のホイル焼き

今年は松茸が豊作で安いというが、産地でもない場所に住む一般人に無縁のものであることには変わりがない。しかし、中国産がある。出回り始めた初期は、傷が多かったり土にまみれていたりして、失望することが多かったが、最近はかなり品質が上がってきた。 …

麻布十番「レ・シュー」

今日は、妻の知人のフランス人が、仕事で世話になったお礼にご馳走してくれるというので、ご相伴で麻布十番へ。行き先は、このフレンチ店。払ってもらう立場なので、値段はちゃんと記録していないが、ランチコースが四〇〇〇円弱。ワインの値段は市販価格の…