橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

埼玉

所沢「百味」が復活

昨年5月、所沢随一の大衆酒場「百味」が、コロナ禍で閉店したという記事を書いた。ところがその後、閉店を惜しむ声に押され、別経営者で復活開店したとのこと。内装はもちろん、メニューも価格もほぼ同じで、照明や会計システムなどは新しくしたとのこと。こ…

所沢の「百味」が閉店

あるいは今年は、戦後居酒屋文化の曲がり角となるかもしれない。あちこちから、老舗酒場が閉店したという知らせが舞い込んでくる。 そして数日前、所沢の「百味」が閉店したという知らせが舞い込んできた。社長は以前から体調が悪く、後継者もいなかったとの…

川越「いちき」

この日は、全国青年司法書士協議会の大会で講演のため、川越へ。講演は翌日なのだが、大きなイベントのため打合せのあと前泊することになった。打合せは一時間ほどで終わり、そのあと居酒屋を物色する。川越駅と本川越駅を結ぶショッピング街、クレアモール…

大宮「いづみや本店・第二支店」

この日は、ヤミ市研究会で大宮へ。以前、思い出横丁でご一緒した埼玉大学の面々との交流会である。 大宮市内を歩くのは初めてなので、まずは大宮公園駅で降り、歴史民俗博物館、大宮公園、氷川神社と回り、参道を通って駅前へ。待ち合わせまで少し時間があっ…

川越「小麦市場」

この日は、ふと思い立って川越へ。駅から歩いて、喜多院、そして蔵の街を散策したあと、バスで向かったのは、ここ。 以前は小江戸ブルワリーのブルーパブだったと思うが、醸造拠点の移転とともに店名が変わったらしい。自社ビールは、ラガータイプの伽羅、ス…

所沢「BUGSY」

この日は、留学するゼミ生の壮行会で、この店へ。イタリアン中心のカジュアルダイニングである。 ワインの種類が多く、値段はリーズナブル。生ハムとオリーブの盛り合わせ、カルパッチョ、パテなど、前菜的な料理がいろいろあるのは、酒飲みにはうれしい。し…

「小手指ショッピングアーケード」

小手指にまともな居酒屋なんかないだろう、と思っていたが、同僚に古くからある飲食店街の存在を教えてもらい、さっそく行ってみることにする。 なるほど、道の両側に居酒屋がちらほら。ビールの看板あり、ホッピーの提灯あり。元は魚屋だったという「佐藤水…

所沢「東屋」

この日はゼミのあと所沢へ移動して、一回目のゼミ飲み会。場所は、学生がバイトしているというこの店。繁華街とは反対側の住宅地のなかで、これは教えてもらわないと見つけられそうにない。古民家風の造りで、板の間に座布団を敷いて座る。 メインは豚と鶏の…

所沢「百味」

今日は研究室の引越しで、まず武蔵大学へ。荷物の搬出を終えて、所沢キャンパスへ。 書籍がたくさんある引越しの場合、本の配列がでたらめになるのを覚悟で梱包と開梱を業者に任せるか、それとも疲労困憊するのを覚悟で自分でやるか、思案のしどころだ。今回…

浦和「おがわ」

太田和彦の居酒屋紀行をプロデューサーとして担当していた小川洋一さんが、昨年一一月に開いた店。もうあちこちで話題になっているが、私は初めての訪問。 名店となるべくして生まれた店といっていい。何しろ、全国の名店を知り尽くした人が満を持して開いた…

東松山「桂馬」

まず入ったのは、ネットで老舗として紹介されていたWという店。中は大きめのコの字型カウンターで、十数人座れる広さ。正面あたりに座って、メニューをみると……??。東松山のやきとり屋には組合統一価格があって、一本一〇〇円だと聞いていたのに、この店は…

東松山の「やきとり」

豚のモツなどを焼いたものを「やきとり」と呼ぶのはなぜかという問題については、以前書いたことがある。その発祥地というわけではないけれど、このタイプの「やきとり」を語るときに外せないのは、東松山の「やきとり」だろう。基本的には豚のカシラと長ネ…