橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

東松山「桂馬」

classingkenji2008-03-20

まず入ったのは、ネットで老舗として紹介されていたWという店。中は大きめのコの字型カウンターで、十数人座れる広さ。正面あたりに座って、メニューをみると……??。東松山のやきとり屋には組合統一価格があって、一本一〇〇円だと聞いていたのに、この店は一二〇円。そして驚いたことに、ビール大瓶が七〇〇円、大生七〇〇円、中生四八〇円、チューハイ四五〇円とある。都内の高級店並みの値段だよ、これは。やきとりは、注文しなくても、早く食べろとばかりに次から次へと焼いて出してくる。味は悪くないけれど、早々に退散した方がよさそうだ。勘定を頼むと、ビール一本とやきとり四本が、なんと二一八〇円。まさか、席料が一〇〇〇円?それとも、勘定を一〇〇〇円間違えたのか。
というわけで、私の東松山やきとり屋初体験は不幸なものに終わったのだが、気を取り直して、今日の本命である「桂馬」へ。ここは、やきとり組合の組合長さんが経営するという、由緒正しい店なのである。開店まもなくだったので、客はまだひとりだけ。さっそく、生ビール、そしてカシラを二本とシロを一本注文。ここは、やきとり一本一〇〇円で、ビールは大瓶と生が六〇〇円。その他、焼酎や日本酒もいろいろあるという、正しいお店だった。カシラは、大変美味しい。残念ながらシロは、塩味が強すぎ、しかもパサパサでハズレ。やはり、東松山ではカシラを食べるべきなのだろう。客が次から次へと入ってくる。六時前で、もうすでに予約を含めて満員。最初から、ここへ来るべきだったと思いつつ、再訪を秘かに約して店を出た。(2008.3.11)