橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

その他の酒

「吉呑み」初体験

大学からの帰り、練馬で降りて梯子酒。途中、吉野家を通りかかると、「吉呑み」のポスターがある。都心だけじゃなくて、こんなところでも始めたかと、入ってみた。 ホッピーセット(四〇〇円)を注文すると、ご覧のようにちゃんと冷えたジョッキで出てきた。氷…

ファミレスのフォアグラ

ファミレスが、相次いでフォアグラをメニューに取り入れている。なかなか食べることのできない、そもそも日本では手に入れるのも難しい高級食材だが、ファミレスで食べるその味は? というわけで、近所の「ジョナサン」へ行ってきた。フォアグラが二枚載った…

ハイボール

ハイボールが人気である。どこのスーパーでも、炭酸水を売るようになった。これから、ハイボールの季節だ。夏はビール、というのは正しいが、本当に乾いたときは、ビールですら喉にしつこく感じることがあって、そんなときはハイボールか酎ハイがいい。 最近…

ラフロイグ・オン・ザ・スノー

二月八日は、大雪だった。当日は入学試験があり、早稲田の駅から試験会場まで雪道を延々と歩く羽目になった。幸いにも降り始めだったから、電車の遅れはさほどでもなく、試験は平穏に終わる。ただし、帰り道にたいへんな思いをした受験生は多かっただろう。 …

ワイン新年会

三日は、恒例の新年会。妻のワイン仲間と、近所のイタリアン「レプロット」のオーナーシェフ夫妻を招いて、料理三昧、ワイン三昧である。 料理は、自家製のサーモンとホタテのスモーク、鴨の治部煮、レプロットの牛ほほ肉の赤ワイン煮、その他持ち込みの料理…

「マンズワイン 勝沼ワイナリー」

翌日は、勝沼へ。「ぶどうの丘」でランチを食べ、ワインを買うのが主目的である。時間があったので、ついでに気に入っているメルシャンの工場へ、と思ったのだが、改装中で閉鎖しているとのこと。そこで、まだ行ったことのないマンズワインへ行ってみること…

「TOKYOどぶろくフェスタ2010」

今日は東京農大で開催の「TOKYOどぶろくフェスタ2010」に出席。現在、全国にあるどぶろく特区で、一三三の蔵がどぶろくを造っているらしいが、そのうち過半数にあたる七五の蔵から一点ずつ出品された。画期的なことである。年輩の参加者からは、「穂積先生に…

キルホーマン・INAUGURAL

一昨年アイラ島へ行ったとき、キルホーマン・ファーム・ディスティラリーという新しい蒸留所に立ち寄った。創立からまだ二年という新しい蒸留所だった。スコッチ・ウイスキーと称するためには、原酒を三年以上熟成させる必要があるので、当時はまだウイスキ…

シャンソンとどぶろくの夕べ

今日は、「シャンソンとどぶろくの夕べ」というイベントに招待されて、有楽町へ。これは先日紹介した阿部健さんの『どぶろくと女』という快著の出版記念パーティー。会場は、外国特派員協会のホールで、業界関係者、マスコミ関係者などを含めて五〇人ほどが…

ホッピーの価格表示

仕事を終えて、新宿へ。仕事で疲れたときは、もつ焼き気分になるのだが、たまには新しい店にも行きたい。やきとり横丁を歩いていると、「ホッピー300円」の文字が目にはいる。この場所で三〇〇円はあるまい、グラス飲み切りの値段だろうかと思いつつ、中に入…

大阪・謎のホッピー

一泊二日で大阪へ。仕事は一日目で終わり、その日の夜と翌日の昼間、何軒かを飲み歩く。ある居酒屋で、ビールを飲みながら店内を見回していると、「ホッピー二八〇円」という貼り紙が目に入ってきた。大阪でホッピーに出会ったのは初めてのことだ。二八〇円…

「ホッピー価格の謎」訂正

三月二六日に「三軒茶屋「戎参」 ホッピー価格の謎」と題する記事を書き、一度は四九〇円に値上げされた生ホッピーが、四二〇円と元の価格に戻されていたという話を書いたが、これは事実誤認だということが分かった。実際には値上げされたままである。訂正の…

「らかん茶屋」で飲む「けいこうとなるも」

今日は仕事に集中していたので、買物もできず料理の時間もなく、妻ともども近所の居酒屋へ。向かったのは、一月のはじめにも行ったこの店。イカと鰺をたたいて粘りけを出した「なめろう」、皮目を焼いた金目鯛の刺身、金目のカブト煮、地魚の天ぷら盛り合わ…

ボージョレー・ヌーボー

新酒の季節である。ボージョレー・ヌーボーは、概して美味いものではない。とくに、某大手酒問屋兼メーカーが「ボージョレーの帝王」などと称して大量販売するヌーボーなど、まずくて飲めたものではない。しかも、高い。フランスだと、せいぜい一本五〇〇円…

「戎参」の生ホッピー:ホッピーよお前もか

三軒茶屋の二軒目は、仲見世商店街の「戎参」へ。前回も書いたが、この店は「精肉店がモツ焼きもはじめたところ、近所の人に好評で、どんどん売り場を広げていってやきとり屋になった」というコンセプトで演出された店。メインの酒が生ホッピーというところ…

灯串坊で飲む「おこげ」

帰国した日、最初に飲みに行く店はどこにしようか。これがなかなか難しい。三ヶ月のご無沙汰だから、刺身は外せない。しかし、もつ焼きも外せない。ところが、刺身ともつ焼きを高いレベルで両立させる店は少ない。少なくとも、家の近所にはない。かといって…

アイラ島「ロッホサイド・ホテル」

今回の1泊2日の滞在では、見学して試飲をした蒸留所が4ヶ所(ボウモア、ラフロイグ、カオリラ、ブナハーベン)、外観をみて売店に立ち寄っただけの蒸留所が2ヶ所(アードベッグ、ラガブーリン)、そして休業のためちょっとのぞいただけの蒸留所が2ヶ所(キルコー…

キルコーマン・ファーム・ディスティラリー

アイラ島でいちばん新しい蒸留所。なにしろ、創業は2005年である。実際にはいろいろ困難があって、まだ実現していないようだが、自家農場で生産した大麦を蒸留所でフロアモルティングし、燻蒸して仕込むという、100%自家生産を目指しているとのこと。だから…

カオリラ・ディスティラリー

CAOL ILAと書いて、カオリラと発音する。アイラ海峡という意味のゲール語で、アイラ島とユラ島の間の狭い海峡のこと。この海峡に面して建っているのが、この蒸留所。蒸留所の前の岸辺に立つと、向こう側には頂上が雲に隠れたユラ島の山々。すばらしい環境で…

ラフロイグ・ディスティラリー

昼食の後、アイラ島南部へ。最南端に近いポートエレンの近くには、アードベッグ、ラガブーリン、ラフロイグという3つの蒸留所がある(ちなみに、以前はポートエレンという蒸留所もあったが、現在は閉鎖されて精麦所だけが操業している)。アードベッグとラガブ…

ボウモア・ディスティラリー

パリから飛行機でグラスゴーへ飛び、一泊したあと小型機でアイラ島へ。地図で見ると、130キロくらいしか離れていないようで、飛行時間はせいぜい30分ほど。アイラ島最大の産業は、アイレイウイスキーの製造である。関連産業を含めると、約3000人の島民の約半…

フランスのワイン価格

フランスならワインが安いかというと、一概にはいえない。少なくとも、高級ワインについていえば、日本より安いとはいえない。ロマネ・コンティは、やはり100万円以上する。ラトゥールやムートン、マルゴーなどの格付けワイン、シャンパンなども、ほぼ日本と…

トスカーナ「ファンティ」

パリ生活にも慣れたころ、ちょっと足を伸ばしてイタリアへ。本拠地としたのはフィレンツェで、ここからトスカーナのワインツアーに出かける。最初に訪れたのは、テヌータ・サン・フィリッポ(TENUTA SAN FILIPPO)という作り手のFANTIというワイン。ブルネッロ…

ハイランドウイスキーとハイランドウォーターでつくるハイボール

ウイスキーは高いのだが、やはり現地の食べ物と一緒に飲みたいので、グレンリベット12年を買った。安売りで、16.99ポンド(3550円)。ハイランドの水は、スーパーや駅の売店など、あちこちで売っている。炭酸入りと炭酸なしがあり、いずれもやや硬水ながら硬す…

キニーネ入りのトニックウォーター

私の愛読する酒マンガ、「BARレモンハート」の第19巻に、「なつかしのジントニック」と題するストーリーがある。ある日、レモンハートを一人の老人が訪れ、「うまいジン・トニックをもらおうか」という。マスターがいつもどおりに作ったジントニックを出すと…

さらばニホンシトロン

大衆酒場好きのあいだで熱く支持されていたニホンシトロンが廃業した。炭酸のガス圧が強く、栓を抜いたとたんに、大粒の泡が出始めるほど。焼酎の量が多い濃いめの酎ハイでも、しっかりした炭酸を感じることのできる、優れた炭酸水だった。豪徳寺の祭邑で、…

ニホンシトロンのレモン

ニホンシトロンといえば、ガス圧が強く、焼酎を多めにして酎ハイを作っても、炭酸の刺激がしっかり感じられるソーダで、下町の伝統ある大衆酒場の定番だが、これにレモン味のバージョンがあることを知る人は少ない。これを出してくれるのは、豪徳寺の「祭む…

金沢ホッピー事情

金沢にホッピーはあるのか? ごらんの通り、金沢大学近くのジャスコの酒売り場には、55ホッピーを含めてホッピーが三種類並んでいた。東京に55ホッピーを置く店は少ないから、むしろ進んでいるともいえる。一一八円という値段も、ごく普通の水準だ。金沢駅の…

ホップの入手法

昨日はホップ酒を作ってホッピーで割るという話をしたが、それでは、ホップはどうやって入手するのかと疑問に思う人もいるかもしれない。実は日本にも、手づくりビールの材料を売っているショップがいくつかある。本来、一%以上のアルコールを含む液体を作…

ホップ酒のホッピー割り

ホップティーを使ったホッピー・アンバーについては、先日紹介した。今度は、その改良版。まず、焼酎にホップを漬け込む。使ったのは、前回と同じく米国産のカスケード。数日もすれば、緑茶色のホップ酒が出来上がる。これを、ホッピー・ブラックで割るので…