橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2007-01-01から1年間の記事一覧

立石「江戸っ子」

立石の居酒屋ツアーで外せないのは「宇ち多」と「江戸っ子」だろう。集合して最初は「宇ち多」へ向かったのだが、なんと5時前だというのにもう売り切れで閉店。恐るべし、「宇ち多」。そこでしばらく立ち飲みの串揚げ屋で時間をつぶし、5時20分頃「江戸っ子…

古典酒場 in 立石

今日は、ムック『古典酒場』で出会った居酒屋仲間たちと、立石で飲み会。時期的には忘年会だが、とくにそう銘打ったわけではない。立石に住む藤原さんの案内で、立石の居酒屋めぐりをしようというわけである。実は私、真昼に何かの空き時間で立石に立ち寄っ…

東中野「路地裏酒場 ちょいと一杯」

これも、東中野ムーンロードの店。串焼き中心の居酒屋である。狭い店で、テーブル二卓とカウンター四席だけ。これを、若者が一人で切り盛りしている。まずホッピーセット(四五〇円)と煮込み(三八〇円)を注文。ホッピーに氷を入れるかと聞くところは、正しい…

東中野「みや」

東中野駅の東口を出たところに、ムーンロードと名付けられた飲食店街がある。ゆるやかに右に曲がっていく細い通りには、色とりどりの灯りや提灯が並び、居酒屋好きなら心惹かれずにはいられないだろう。その中ほどにあるのが、この店。大衆割烹と白抜きに染…

「秋刀魚の味」(小津安二郎監督・1962年)

小津安二郎最後の作品。初めて見たとき、「お茶漬けの味」みたいに秋刀魚を食べるシーンが出てくるものとばかり思っていたが、そうではない。ほろ苦い人生ドラマ、というような意味だろう。笠智衆、中村伸郎、北龍二の三人は中学の同級生なのだが、同窓会の…

ブラッスリー・パラディ

経堂駅の南側、農大通りと違って新宿方向にやや戻る感じに伸びる通りを本町通りという。いちおう商店街なのだが、店はまばらで交通量が少ない。その一角に、「ブラッスリー・パラディ」という店があった。いつも赤白三種類ほどのグラスワインがあり、さらに…

「酒とつまみ第10号」「モツ煮狂い第二集」発売記念イベント

雑誌「酒とつまみ」とは、知る人ぞ知る全編酒の話だけという雑誌で、別のブログで紹介したことがある。「モツ煮狂い」については以前このブログで、入手できる場所についての情報を募集したところ複数の方からご助言を戴き、ある図書館で閲覧することができ…

ます屋

ここも、最近増加中のチェーンの串焼き屋。池袋西口の西1番街中央通りにある。経営は二子玉川に本社があるフロンティアグループで、「まんまみーや」「橙庵」など九業態を展開している。ホームページによると、年商はグループ全体で一五億円。正社員九〇名、…

神保町「やきとり道場 こだわりやま」

今日は、社会理論学会の大会で講演を頼まれ、駿河台の明治大学へ。あまり知られていない学会だが、参加者には古い新左翼系(形容矛盾だが)の研究者や活動家が多いようで、平均年齢は極めて高い。会の後の懇親会場は御茶ノ水駅そばの中華料理店で、居酒屋好き…

「鳥元」

買い物のあと、新宿西口の飲食店街へ。銘酒居酒屋「吉本」が目当てだったのだが、あいにく満席。どこへ行こうかと近くを見回すと、和風ながらちょっとモダンな感じの店に「炭火串焼・十割そば 鳥元」の看板が。そういえば、聞いたことがある店だ。外のメニュ…

御徒町「蔵串」

本郷の東大で研究会の後、串焼きが食べたくなって御徒町へ。御徒町のガード下は、意外に串焼きの店が少ない。あるにはあるのだが、ビールがスーパードライでホッピーがないという店だったりして、選択に困る。と思っていると、ガードをくぐって少し行ったと…

江古田「あぶさん」

大学の近所に最近(といっても一年前だが)できたもつ焼きの店。店の前にはホッピーの赤提灯が。最近あちこちで目立つこの提灯、見かけると入ってみたくなるのは私だけではないだろう。たぶん。店内には、長いテーブルが三つある。テーブルの真ん中には仕切り…

山本淳子さん サントリー学芸賞を受賞

山本淳子さんの『源氏物語の時代』については、4月18日に紹介した。文学史・宮廷史の書ながら、宮廷の住人たちの飲みっぷりや酔態について多くの言及があり、酒呑みとしても見逃せない内容である。この本で山本さんがサントリー学芸賞を受賞されることになっ…

『TOKIO古典酒場 闇市・横丁編』

第三弾がでました。今回は闇市・横丁の特集で、品川、新宿、赤羽、吉祥寺などの居酒屋が登場。私は今回も、居酒屋対談で登場しています。今回は対談者が五人に増え、それだけ話題も豊富に。さらにもう一カ所、「ホッピー酒場の南限・北限を探る旅」にも、「…

椎名町「正ちゃん」

椎名町駅北口ちかくにある、魚料理の店。もともとは魚屋らしく、外のショーケースに魚の煮物や焼き物を並べて売っている。入ると五席ほどの小さなカウンターがあり、奥にはテープル席。二階もあるらしく、宴会でもやっているのか、次々に人が入ってくる。ホ…

椎名町「かど」

灯台もと暗しというべきか、大学のある江古田からわずか二駅目の椎名町は、いろいろ居酒屋があるとわかっていながら、まだ一度も行ったことのない地だった。そこで今日は大学で仕事を終えた後、ふと思い立って居酒屋探索に出かけることにする。Kという店が第…

恵比寿「縄のれん」

今日は、恵比寿ガーデンプレイスの東京写真美術館へ東松照明の企画展を見に出かける。これについては別のブログを見ていただくとして、帰りにちょっと寄り道を。恵比寿のもつ焼きといえば、まずここ。前回来たのは八月だったから、四ヶ月ぶり。相変わらず、…

ゴールデン街「H」

前にも書いたが、ゴールデン街は新宿東口にあった竜宮マートというヤミ市の飲み屋が移転したもの。ヤミ市オフの最後は、ゴールデン街でしめることにする。この店は元衆議院議員の長谷百合子さんが経営する店で、花園一番街中ほどの二階にある。あまり一般向…

「第二宝来家」

バーチャル居酒屋「とり橋」オフ・ヤミ市篇、二軒目は新宿に移動し、やきとり横丁の「第二宝来家」へ。やはり、ヤミ市時代に開業した新宿の焼きとん屋元祖だから、ここは外せない。山城屋さんが別の飲み会のため席を外し、初対面の人ばかりとなったが、大い…

浅草「鈴芳」

今日は、私が開いているバーチャル居酒屋「とり橋」のオフ会。午後三時半に浅草の雷門前で待ち合わせ、集まったのは、山城屋さん、ゆーこさん、大瀧さん、右近さんの四人。まずは煮込み通りへ向かい、有名店の「鈴芳」へ。最初は、生ホッピー(五五〇円)で乾…

『TOKIO古典酒場 闇市・横丁編』発売イベント

先日、早稲田でヤミ市酒場についての座談会をやったが、その記録を含む『TOKIO古典酒場』第三弾が、11月29日に発売される。発売にあたって、都内のいつかの書店でフェアが開催されるので、お近くにお勤めの方または飲みに行く方は、ぜひご参加を。30日の新橋…

江古田「お志ど里」

先日は毎日新聞の鈴木琢磨記者とここで飲んだのだが、あとでその時のことを書いた記事を見ると、「鬼の絵があった。酒杯をひっくり返し、最後の一滴まで飲もうとしている。先生そっくりで笑った」とある。そんな絵、あったっけ?と気になっていたのだが、今…

目黒「ホルモン道場 闇市倶楽部」

目黒駅に近いビルの前を通りかかった時、「ホルモン道場 闇市倶楽部」という文字が目に入った。これは、ヤミ市時代から続いている店なのか、それとも「闇市」を看板に掲げただけなのか。さっそく地下街に入ってみると、ヤミ市の移転先としか考えられないよう…

目黒「とり薪」

先日、クドウヒロミさんの「モツ煮狂い」という小冊子について情報を募ったところ、ある方から「目黒区立図書館に所蔵されている」との情報をいただいた。というわけで仕事を早々に片付け、目黒へと急ぐ。所蔵しているのは目黒駅から徒歩一〇分くらいの「目…

長野「圭屋」

これも、長野駅近くの店。洋風の玄関の上部には「KEIYA」と金文字で店名が掲げられ、右側には「圭屋」と朱塗りの小さな看板。おしゃれな外観だが、左側は半ばオープンエアで中がよく見えるので、気軽に入れる。酒の品揃えがいい。「九平次」「十四代」「黒龍…

長野「とくべえ」

長野の夜、二軒目に入ったのはやはり駅の近くの「とくべえ」である。目立たない店構えに、縄のれん。余所者を寄せ付けないような雰囲気を少しばかり感じさせるが、磨りガラスから漏れてくる光に惹きつけられ、思い切って戸を開けてみる。その瞬間、この店は…

長野「もみじ茶屋」

今日は授業を終えた後、新幹線で長野へ。部落解放同盟の部落解放研究全国集会で講演を頼まれたからである。解放同盟関係で仕事を頼まれたのは、今回が初めて。長野は思ったより近く、大学を5時前に出て池袋から湘南新宿ライナーで大宮に出ての乗り換えたとろ…

ありがとうございました。

複数の方から「モツ煮狂い」についての情報をいただきました。実物を入手することはできませんでしたが、都内のある図書館に所蔵されているとの情報をいただき、早速閲覧してきました。情報をいただいた方々、ありがとうございます。また今回、同好の熱心な…

引き続き求む『モツ煮狂い』

よろしくお願いします。なにしろ巻頭の文章が「モツ煮の歴史と荷風の見た東京」とか。これは読まないわけにはいきません。情報、あるいは「手元にあるので譲ってやってもいい/しばらく貸してやってもいい」というお申し出をお願いします。

求む『モツ煮狂い』

先日からクドウヒロミという人が執筆・制作した『モツ煮狂い』という小冊子を探している。モツ煮を通じて東京の都市文化・地域文化を論じたものらしく、ぜひ読みたいのだが、一般の書店にはなく、以前は置いていたらしい書肆アクセス、新宿・模索社、中野・…