橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

シャンソンとどぶろくの夕べ

classingkenji2009-12-09

今日は、「シャンソンどぶろくの夕べ」というイベントに招待されて、有楽町へ。これは先日紹介した阿部健さん『どぶろくと女』という快著の出版記念パーティー。会場は、外国特派員協会のホールで、業界関係者、マスコミ関係者などを含めて五〇人ほどが集まった。同じテーブルには、以前阿佐ヶ谷の「まにわ」でご一緒した山内史子さんもいた。
シャンソンどぶろくとは妙なる組み合わせだが、著者の趣味とのこと。歌手は浦ひろみさんといい、「リヨン駅」「それぞれのテ−ブル」「バラ色の人生」「街角のアベ・マリア」など、八曲を歌う。日本語の歌詞だが、いかにもシャンソンらしいエスプリを感じさせる見事な歌。考えてみると、海外の曲を日本語で歌って様になるスタイルを確立したのは、シャンソンくらいのものだろう。
もちろん、メインの酒はどぶろく。本日出されたのは、この二種類。「山形むらやまのどぶろく」は、精米歩合六〇%とのことで、まるで吟醸酒のような香りでさらりとした味わい。「丹波杜氏の里 おやっさん」は、辛口ながらボディがあり、飲み応えたっぷり。
イベントはこのあと、「どぶろくと女」のエッセンスを盛り込んだ林英世さんの一人芝居、そして著者インタビュー、お嬢さんからの花束贈呈と続く。どぶろく文化を愛する人が、こんなに集まるとは心強い。いつでも買えるように、そしていつでも堂々と作れるようになってほしいものである。(2009.11.21)