橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

赤坂周辺

六本木「三州屋」

六本木に三州屋があることは知っていたが、まだ入ったことがなかった。今日はたまたま六本木へ出かけることになったので、入ってみることにする。ビルの建て替えで移転し、三年ほど前に再開した小さな店である。 六本木の繁華街から少し外れた、ちょっと暗い…

麻布十番「ふじ嶋」

三田小山町から麻布十番へ。表通りはきれいになったが、裏に回れば古い街並みが残る。歩くうちにときおり、低い建物の屋根の上に六本木ヒルズが頭を出す。そんな一角に見つけたのが、この店。看板に「芝浦直送 新鮮朝〆ホルモン串焼き」とあり、ホッピーとジ…

三田小山町

都営地下鉄大江戸線の赤羽橋と麻布十番の中間あたりに、この都心部には奇跡的とも思われる狭小な住宅の密集する地域がある。三田小山町である。再開発計画はあるようだが進行しておらず、現在も「町こわし再開発反対」ののぼりがところどころに立っている。…

麻布十番「レ・シュー」

今日は、妻の知人のフランス人が、仕事で世話になったお礼にご馳走してくれるというので、ご相伴で麻布十番へ。行き先は、このフレンチ店。払ってもらう立場なので、値段はちゃんと記録していないが、ランチコースが四〇〇〇円弱。ワインの値段は市販価格の…

青山ジャングルと「あべちゃん」

今日は、根津美術館へ。仏教美術の展示を見たあと、六本木方面へ歩く。青山墓地の端あたりで見つけたのが、この風景。都心のジャングル、まさに奇観である。手前の植物はマングローブ、ではなくて壁を蔓性の植物が這っているだけだが、見た目はかなり似てい…

麻布十番「あべちゃん」

麻布十番は、六本木ヒルズから坂を下ったところにある商店街で、元の町人町。いわば、山の手の中の下町である。こういう場所を、歴史的に「下町」と呼ぶことがあったかどうかというのが、私の前からの疑問で、いつか調べなければと思っている。ご存じの方が…

赤坂「まるしげ夢葉家」

今日は全国居酒屋紀行のオフ会で赤坂へ。何と六〇人も集まった。太田和彦さんにお会いするのは、これが初めて。偶然テーブルが同じになり、お話しすることもできた。 この店に来るのは初めて。料理は、カツオのたたき、イワシのなめろう、キスの西京漬けなど…

赤坂「ホブゴブリン」「すっとこどっこい」

今日は、7時からサントリーホールで読売日響の定期演奏会を聴く。矢代秋雄の協奏曲2曲を中心とするプログラムで、堤剛と中村紘子が熱演。いいコンサートだった。その後は赤坂へ。 まず入ったのは、以前から行きたいと思っていたブリティッシュパブのホブゴブ…

半蔵門「エリオ・ロカンダ・イタリアーナ」

居酒屋ではないが、たまにはいいだろう。イタリア人一家の経営する、イタリアンの店である。日本風、あるいは懐石風にアレンジされないイタリアそのままの味という評判で、ふだんはイタリア人客が多いらしい。場所柄、入りづらい高級店を想像していたが、さ…