橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

三田小山町

classingkenji2010-12-20

都営地下鉄大江戸線の赤羽橋と麻布十番の中間あたりに、この都心部には奇跡的とも思われる狭小な住宅の密集する地域がある。三田小山町である。再開発計画はあるようだが進行しておらず、現在も「町こわし再開発反対」ののぼりがところどころに立っている。居酒屋はないかと探してみたが、場末風のスナックが一軒あるだけだ。
麻布十番の駅から、歩いて三分ほど。住宅地だけにあまり店が増えても困るかもしれないが、隅の方にバーや居酒屋が数軒並ぶような一角があれば、六本木周辺から客がやってきて、住宅地と共存し、街並みを現在のまま保存できるのではないだろうか。都心の古い住宅地を保存する方法として、検討の余地があると思う。(2010.12.15)