橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

低温調理の豚モツ刺

飲食店で生の豚モツ刺しを提供するのが禁止されて二年が過ぎたが、これに代わって低温調理の「モツ刺」を提供する店が増えている。注文すると出てくるのは、おそらく摂氏七〇度くらいで長時間熱した、火は通っているものの、ほんのり桜色だったり、生のよう…

三浦展『横丁の引力』

三浦展さんが東京とその周辺の横丁について論じた本である。各地の横丁を軽く案内するような本ではなく、かなりアカデミックだ。ヤミ市・花街・赤線、近代の下層社会、建築史などについての文献を渉猟し、横丁の魅力と存在意義について、骨太に論じていく。…