橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

京都・大阪

京都「京都醸造タップルーム」

次のブルワリーは、京都駅の南、九条と十条の間にある「京都醸造」。近鉄線や市営地下鉄の十条駅からも行けるが、かなり歩くのでバスを使った方がいい。営業は金土日の週3日。もともとは1階タップルームと2階フロアで飲食できたらしいが、コロナ禍のため中止…

京都「ウッドミルブルワリー」

こちらは京都市中心街の北端、同志社の近くにある「ウッドミルブルワリー」。ガレージの奥に作業場、さらに奥に醸造所があり、土曜と日曜のみ、作業場に椅子とテーブルを出してタップルームを開店している。この日のラインナップは、エールが三種類と、ベト…

京都「スプリングバレー京都」

11月から12月にかけて1ヶ月間、形式的に立命館大学に籍を置き、2021年度に実施する大規模調査のための下見と資料収集のため、京都市に滞在した。当然、あちこちの居酒屋等にも行ってきたので、しばらくはそのときのことを書こうと思う。 京都のクラフトビー…

大阪「木曽路」

この日は講演を頼まれて大阪へ。終わったあとは、当然のように新梅田食道街で居酒屋を物色する。大阪で居酒屋を選ぶときに難しいのは、ビールがアサヒでない店を見つけること。二軒目ならともかく、その日の最初のビールをアサヒにするわけにはいかない。迷…

京都「赤いひつじ」

ホテルに帰る途中、河原町で見つけて入った居酒屋。ビルの二階にある、まるで食堂かラーメン屋のようなごく普通の作りの店。それだけに、京都というととかく身構えてしまうよそ者でも気楽に入れる。メインのメニューはおばんざいの盛り合わせで、五種盛りが…

京都「三富久」

この日は日本都市社会学会に出席のため、京都へ。といっても午後に東京を出て、この日は京都へ移動するだけ。目指すは、居酒屋である。場所は木屋町と決めていて、おばんざいが豊富で美味しいある居酒屋を目指したのだが、何と「鳥貴族」に変わってしまって…

大阪「BEERBELLY」

この日は、学会で大阪へ。夜着いてホテルに荷物を置き、飲む場所を探す。一軒目は、安くて良心的ながら、あまり特徴的でない店だったので省略。二軒目を探して歩き回ると、目に飛び込んできたのが「店内でビールを製造!」という文字。これは、入らないわけ…

京都「あきよし」

この日は、立命館大学で最近の研究について話をするよう頼まれ、京都へ。蒸し暑い日で、汗だくになって大学に到着し、一時間半ほど話し、討論したあと、Y教授の行きつけのこの店へ。 リーズナブルで使いやすい小料理屋のようだ。味は良く、値段は普通。日本…

大阪「赤垣屋」

久しぶりの大阪の夜、二軒目はここ。なんとビル1階のモール、「明治屋」の並びに、この店がある。何とぜいたくなモールであることか。この日は入らなかったが、もう一軒「正宗屋」という大衆酒場もあって、ここは簡単に梯子酒ができる大衆酒場パラダイスだ。…

大阪「明治屋」

大阪が誇る日本の名店だが、実は私は今回が初めて。ご覧の通りの店構えは、まるで明治か大正期を描いた映画のセットだ。移転したものの、店の空気までもってきたかのように変わっていないと言われていたが、確かにそうなのだろうと思う。最近できた店にはと…

大阪「天満 風の森」

天満の夜、三軒目には「多聞酒蔵」で一杯だけ飲み、そろそろホテルに帰ろうかと歩く途中、「風の森」という看板を見つけた。私の大好きな奈良の酒である。これは、入らないわけに行かないと覗いてみると、店内はほぼ満員。店主が満員ですと済まなそうに頭を下…

大阪「発酵のすすめ」

天満の夜、二軒目はここ。そのものずばりの変わった店名だが、酒店直営とのこと。 メニューを見て驚いた。日本酒が数十種類、値段の順に並んでいるのだが、最安値は九〇ミリリットルのグラスで三三〇円。これが十数種類あるのだが、その冒頭に「久保田百寿」…

大阪「ちゃぶ」

この日は、三コマ限りの短期集中講義のため大阪へ。朝九時からだから、前泊して居酒屋めぐりをすることにする。行ったのは、天満。行くのを楽しみにしていた天満酒蔵は一時休業だったが、他にも迷うほど魅力的な店が多い。まず入ったのは、この店。看板の上…

伏見「鳥せい本店」

オフ会の二軒目、というよりメイン会場はこの店。有名店だが、私は初めて。何とも風格ある店構えで、中はかなり広い。空席はあるのだが、注文の集中を避けるためか席の準備に少し時間をとっているようで、五分ほど待たされる。待合席の周辺には、伏見ガイド…

伏見「藤岡酒造」「熊谷豆腐店」

午前中に仕事を済ませた後、京阪電車で伏見へ。今日は、私が店主を務めるバーチャル居酒屋「とり橋」の関西オフ会である。集まったのは、Liさん、紫式部さんのお二人。Liさんは約二年ぶり。紫式部さんは私の高校の後輩なのだが、卒業以来だから何と三二…

橋本健二 meets 橋本健二さん

今日は仕事で大阪へ。仕事は翌朝だが、少し早めに出て、以前から連絡を取り合っていた建築家の橋本健二さんと大阪駅で待ち合わせる。向かったのは、「こぶた」という店。名物は羊の料理で、骨付き肉のローストが絶品。ただし、駅からタクシーで行き、ホテル…

大阪・天満「銀座屋」

満足しつつも、ここは帰りの電車の予定などないときに、もう一度じっくり楽しみたいなと天満酒蔵を出る。まだ少しだけ時間がある。そこで、駅前のこの店へ。立ち飲み店だが、店先の看板に「ビンビール330 生ビール(中)300」などと書いてある。驚くべき安さだ…

大阪・天満「天満酒蔵」

天満は、環状線大阪駅の隣の駅。これまでも仕事で来たことがあったが、駅を出てすぐ右に曲がって、会議場へ行っただけ。反対側に、こんな大きな商店街があるとは知らなかった。 商店街は天神橋筋商店街といい、全長二・六キロメートル、店舗数六〇〇で、日本…

大阪・鶴橋「串まつ屋」

さて二軒目だが、金網や鉄板を使うホルモン焼の店では、多くの種類を食べられそうにない。そこで、あらかじめ目をつけておいたこの店へ。鶴橋駅近くのガード下にある、串焼き専門店である。明るい雰囲気で、初めてでも入りやすい。右側にカウンターが数席あ…

大阪・鶴橋「岩山海」

仕事が終わったのが五時過ぎ。ホテルに荷物を置き、鶴橋へ出かける。鶴橋は以前から気になっていた場所だが、行くのは今回が初めてだ。もちろん、目当てはホルモン焼なのだが、最初からホルモン店に入って、ホルモン店ばかり梯子するというわけにもいくまい…

大阪・謎のホッピー

一泊二日で大阪へ。仕事は一日目で終わり、その日の夜と翌日の昼間、何軒かを飲み歩く。ある居酒屋で、ビールを飲みながら店内を見回していると、「ホッピー二八〇円」という貼り紙が目に入ってきた。大阪でホッピーに出会ったのは初めてのことだ。二八〇円…

大阪・梅田「大阪屋」

いったんホテルでチェックインを済ませ、また新梅田食道街へ。今度は、道路に面したところにある立ち飲み屋「大阪屋」である。活気がある。入り口のあたりには小皿料理が並び、周りに人が群がっている。スーツにネクタイ姿のサラリーマンがいる。ネクタイを…

大阪・梅田「松葉・総本店」

今日は、日本福祉大学のスクーリングでゲスト講師を頼まれ、大阪へ。「現代日本の格差拡大と貧困層」というテーマで3時間ほど話したあと質疑応答。受講生は、西日本・北陸各地から集まった福祉関係者が多く、大変熱心に聞いてくれた。講義のあと、担当講師の…

伏見「石勢」

武生から京都に移動し、一泊。翌日はまず大原へ行き、晩秋の三千院と寂光院を楽しむ。寂光院へ行く途中の道は、大原の里のひなびた風景を満喫できる場所。三千院にばかり人が集まるが、この道だけでも寂光院に足を伸ばす価値はある。そのあと伏見へ移動して…