橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

大阪・梅田「松葉・総本店」

今日は、日本福祉大学のスクーリングでゲスト講師を頼まれ、大阪へ。「現代日本の格差拡大と貧困層」というテーマで3時間ほど話したあと質疑応答。受講生は、西日本・北陸各地から集まった福祉関係者が多く、大変熱心に聞いてくれた。講義のあと、担当講師の…

「房’s 西新宿店」

「房's」は都内に四店を展開するワイン・ダイニング。ほかに、「はかりめ」や「鮨丸」などの姉妹店もある。ワインを一〇〇種類以上おき、グラスで飲めるものも三〇種類ほど。グラスワインは六〇〇−一〇〇〇円が中心で、地域・タイプともいろいろ揃っているか…

「魚真」

今日は東京国際映画祭で渋谷のBunkamuraへ。今回の映画祭には「映画が見た東京」という企画があり、見たい作品がいくつかあった。「東京五人男」(斉藤寅次郎・一九四五年)など、敗戦直後の作品でビデオ化もされておらず、ぜひ見てみたかったのだが、都合がつ…

江古田「お志ど里」

新著『新しい階級社会 新しい階級闘争』について、毎日新聞の記者が取材したいという。そこで光文社の編集者を交え、江古田駅前で待ち合わせてから居酒屋へ。行き先は、江古田を代表する居酒屋「お志ど里」である。この店、もっと早くに紹介してもよかった店…

「わん」池袋東口店

「古典酒場」座談会のあとは、池袋へ。今年三月に卒業した教え子たちが集まって飲み会をしているというので、駆けつけることに。東口のマツモトキヨシの前で待ち合わせ、迎えに来てくれた女の子に連れられ「わん」へ。感心なことに、急用の入った一人以外は…

10万アクセス達成

記録から見ると、今日の午前10時台に10万カウントを超えたようです。皆さん、ありがとうございました。さっそく祝杯と行きたいところなのですが、予定が詰まっているため、来週に持ち越します。5万アクセススペシャルは四ツ木でしたが、今度はどこにしましょ…

早稲田「加賀屋」でヤミ市座談会

今日は古典酒場の座談会で、早稲田の「加賀屋」へ。ここへ来るのは前回に続いて二回目。「加賀屋」はチェーンとはいえ個人経営の色彩が強く、店によってかなりの違いがある。この店はビールはサッポロ、炭酸はニホンシトロン、焼酎はキンミヤと王道を行き、…

もうすぐ10万アクセス

現在、98749アクセス。10万アクセスに到達するのは3日後くらいでしょうか。読者の皆さん、ありがとうございます。10万アクセスに当たった方は、カウンターの画像を添えてご一報ください。新著「新しい階級社会 新しい階級闘争」をお送りさせていただきます。…

アメ横「大統領」

上野は新宿、新橋、池袋と並んで最大のヤミ市街の一つだったが、その中心をなすアメ横は、他のヤミ市とはやや起源と経緯が異なる。他のヤミ市の多くが、新宿の尾津組・和田組、新橋の松田組などのように「組」支配の色彩が強く、「組」と中国・朝鮮人との対…

上野「とら亭」

上野は時々行くが、どうしてもアメ横から御徒町にかけての界隈に偏りがちだ。駅の浅草口から台東区役所にかけてのあたりは店もさほど多くなく、なかなか立ち寄る機会がない。このあたりには「ほし野」という名店があったはずだが、今もあるだろうか。 今日は…

近刊案内

10月24日に、新著が発売されます。六本木ヒルズをモチーフにした装丁で、背表紙は青です。ただいま、予約受付中。手に取っていただければ幸いです。新しい階級社会 新しい階級闘争 [格差]ですまされない現実作者: 橋本健二出版社/メーカー: 光文社発売日: 20…

「東京画」(ヴィム=ヴェンダース監督・1985年)

これは小津安二郎に傾倒するドイツの映画監督が、現代の東京に小津の足跡をたどるドキュメンタリーである。監督自身がナレーションを担当。笠智衆とカメラマンの厚田雄春へのインタビューも収録され、小津映画の撮影の様子が詳細に語られている。撮影された…

有楽町のガード下

有楽町のガード下には、「丸三横町」をはじめとして、ヤミ市時代を彷彿とさせる居酒屋がかなり残っている。そのうちの一軒に入ってみた。線路の端から端までを横切る細長い店で、けっこう内装はきれいになっている。メニューも豊富。刺身が各種あり、焼鳥・…

「ITOSHI」

下高井戸の駅前、京王線の踏切のそばに立つ、仕舞屋風の立ち飲み屋。「糸」という漢字を2×2に四つ並べた下に「ITOSHI」と書いて「いとし」と読ませる。以前この場所には別の立ち飲み屋があったのだが、新装して新しくなったのが、もう一年ほど前だろうか。…

「なんで・や」

千歳烏山の「なんで・や」は以前行ったが、下高井戸の方は今回が初めて。存在は知っていたが、なぜか行きそびれていた。この店は千歳烏山とは違い、椅子に座るのが基本。L字型カウンターと、カフェバー風の丸テーブルがあり、くつろいで飲むことができる。…

「きくや」

連休前の土曜日、もつ焼きが恋しくなって自転車で下高井戸へ。目指すは「きくや」である。今日は近所にある日大の学生たちが店の前にたむろし、座敷は宴会の真っ最中。しかし、カウンターとテーブルのあるフロアには中高年の常連たちが陣取り、落ち着いた雰…

ホップの入手法

昨日はホップ酒を作ってホッピーで割るという話をしたが、それでは、ホップはどうやって入手するのかと疑問に思う人もいるかもしれない。実は日本にも、手づくりビールの材料を売っているショップがいくつかある。本来、一%以上のアルコールを含む液体を作…

ホップ酒のホッピー割り

ホップティーを使ったホッピー・アンバーについては、先日紹介した。今度は、その改良版。まず、焼酎にホップを漬け込む。使ったのは、前回と同じく米国産のカスケード。数日もすれば、緑茶色のホップ酒が出来上がる。これを、ホッピー・ブラックで割るので…

人世横丁「げんき」

忙しい一日を終え、久しぶりに池袋へ。まっすぐ、人世横丁へ向かう。今日の目当ては、六月二一日にコメントを書いてくださった前田さんの行きつけという立ち飲み屋の「げんき」。店に入ると、人世横丁の公式ホームページに写真が載っているご主人が「いらっ…

三軒茶屋「小桜」

一般的にいってヤミ市横丁には、名酒を売り物にする店は少ない。場所柄、「高いけれど美味い酒」というのを求めてくる人は少ないだろう。少々薄汚れた哀愁漂うヤミ市横丁、古びた居酒屋の佇まいには、安酒とモツ焼き、それに普通の居酒屋料理が似合う。もち…

三軒茶屋「兆治」

三軒茶屋のこの飲食店街を歩いていると、まず目にとまるのはこの「兆治」の赤ちょうちんである。中に入ると、壁に高倉健主演映画のポスターの数々。「居酒屋兆治」を初め、「夜叉」「駅station」「冬の章」など。一人で切り盛りするご主人が、健さんのファン…

三軒茶屋のヤミ市

三軒茶屋は、世田谷区最大のヤミ市があったところである。場所は茶沢通り沿いの太子堂で、警視庁の資料によると一六四メートルの公道沿いに、許可を受けたものだけで三四店が営業していた。世田谷全体では九八店だから、かなりの集積である。ここは都心と東…

プラティパス・ピノ・ノワール

新世界ワインついでに、私が家でよく飲むワインを一本。オーストラリアは、ニュージーランドやカリフォルニアの一部と並んで、新世界らしい濃厚な果実味とヨーロッパ的な繊細さを兼ね備えた良質なワインの産地である。コストパフォーマンスの高いワインが多…

「天狗」東京駅前店

東京駅近辺で食事をと店を探したのだが、月末の金曜の夜だけあって、心引かれるような店は満員。こんな時にハズレがなくて頼りになるのは「天狗」である。ここは、東京駅にいちばん近い「天狗」。地下にフロアが二つあり、合わせるとけっこう広い。秋に入っ…