橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

巣鴨周辺

大塚「スモーク ビア ファクトリー NAMACHAん Brewing」

いまクラフトビールの最新トレンドは、住宅地の中のブルー・パブだろう。次々に新しい店ができ、いいビールを提供している。都心のブルーパブは、家賃が高いから、二五〇ミリリットルで八〇〇円などという値付けをせざるを得ないが、住宅地なら価格を安く設…

大塚「北斎」

この夏にオープンした「大塚のれん街」の一軒。この一角、カテゴリー的にはいわゆる「ネオ横丁」に入るのだろうけれど、建物内部やガード下に展開するのではなく、各店が道路に面していて、独立性が高い。もともとあった店が改装したところもあり、ユニーク…

大塚「麦酒庵」

私はある時期から、大塚へ飲みに行くのは避けるようにしていた。というのはかつて、大塚にはある組織があって、その組長が私と同姓同名(字も同じ)だということが分かったから。しかもこの組織、日本最大と言われる某組織の下部団体だったのだが、数年前に…

巣鴨「でかんしょ」

「千成」から居酒屋街をさらに奥に入ったところ、外側には派手な提灯がずらりと並んでいるが、中は照明が暗めで、落ち着いた雰囲気の立ち飲み屋がある。二軒目はここに入ってみることにしよう。この名前の立ち飲み屋は、見覚えがある。二年半ほど前、新小岩…

巣鴨「千成」

今日は、ふと思い立って巣鴨へ。板橋に住んでいた頃は、よく地下鉄で通過していたが、あまりに身近すぎて、降りて飲みに行くことが少なかった。駅を出てすぐ右側、中山道をはさんで地蔵通りと反対側には飲み屋街があり、けっこう店が多いのだが、行ったこと…

大塚「幸司忠」

庚申塚から都電荒川線で大塚へ。大塚には、「串駒」「江戸一」「きたやま」という三大名店がある。もともと有数の三業地で、池袋以上の繁華街だった歴史があるとはいえ、今ではかなり地味な存在であるこの町に、都内でも屈指の名店が三つもあるというのも、…

庚申塚「庚申酒場」

「おふく」を出て、都電荒川線の庚申塚方向へ。交差点の少し右側に、灯りがみえる。吉田類の「酒場放浪記」でも取り上げられたので、ご存じの方も多いはず。古い一軒家の暖簾をくぐると、L字型のカウンターだけの小さな店内。メインの料理は串焼きと煮込み…

巣鴨「おふく」

今日は、大学で雑用。しばらく研究室を留守にしていたので、書類や郵便がたまりにたまっている。思いのほか手間取ってしまい、終わったときはもうすっかり真っ暗。その後、ふと思い立って巣鴨へ。以前、巣鴨に住んでいた知人のSさんから教えてもらったこの…