橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

大塚「スモーク ビア ファクトリー NAMACHAん Brewing」

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 いまクラフトビールの最新トレンドは、住宅地の中のブルー・パブだろう。次々に新しい店ができ、いいビールを提供している。都心のブルーパブは、家賃が高いから、二五〇ミリリットルで八〇〇円などという値付けをせざるを得ないが、住宅地なら価格を安く設定できる。ビールは鮮度が重要だから、住民にとっては自宅の近くにあることのメリットは大きい。
 この店も、その一つ。山手線の大塚駅から徒歩三分、かつての花街の入り口あたりにある。店長兼醸造長の米澤美里さんが、アルバイトをしていたビアパブ「スモーク・ビアファクトリー」のオーナーに提案して店を開いたのは二〇一七年のこと。変わった店名は、学生時代に生ビールばかりおかわりしていた米澤さんのあだ名が「ナマちゃん」だったからとか。
 タップが十六個あり、うち店内で醸造されたものは二種類。燻製料理が売り物の店なので、ここでは自慢のラオホビールをいただきたい。すっきりした味のラオホで、魚介の燻製にはぴったりである。よそから仕入れる他のビールも、国内外からいいものを揃えている。(2019.8.25)

豊島区南大塚1-60-19
17:00~25:00(日17:00~23:00) 月休