橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

四谷・神楽坂

荒木町「タキギヤ」

この日は、仕事の打ち合わせ(?)で、荒木町へ。よそ者には敷居の高い場所だが、近くに住む人が案内してくれた。一軒目はビルの中の割烹居酒屋で、味は悪くないが、あまりコスパが良くない。いろいろ散策して、入ったのがこの店。 酒の品揃えがいい。定番酒が…

飯田橋「主水」

この日は、某出版社の面々と忘年会ということで、この店へ。飯田橋の駅から目白通りを少し上ったところの蕎麦懐石の店である。ビルの一階だが、もともと独立した二戸だった場所を使っているらしく、出入り口が二つある。私が入ったのは、奥の方。靴を脱いで…

「つず久」

今日は雑誌の取材で、牛込柳町へ。山の手台地の東南端に近く、坂の多い場所で、かつては江戸城の守りにつく下級武士の住宅地。維新後は新中間階級の住宅地となり、夏目漱石も晩年をここで過ごした。交差点の少し裏手にあるのが、この店。 カウンター数席と小…

神楽坂「フレンチ・ダイニング」

知人のフランス人と日本人の夫婦が、秘蔵のワインを飲ませてくれるというので向かったのが、この店。まるで米国の場末のフレンチのような店名だが、フランス人の経営するれっきとしたフレンチ。ワインの持ち込み可ということで、今日の店に選んだとのこと。 …

神楽坂ワヰン酒場

知人夫婦と食事の約束があって神楽坂へ行ったのだが、少し時間に余裕がある。坂とその周辺をしばらく物色し、見つけて入ったのがこの店。外壁をレンガで飾り、イミテーションながらよくできたブドウの蔓を這わせている。 売り物は、ワインのアウトレット品。…

「萬屋・おかげさん」

今日は、拙著『居酒屋ほろ酔い考現学』出版の打ち上げで、四谷へ。待ち合わせたのは、毎日新聞社出版局の編集者二人と、記者一人。指定されたこの店は、全国から有名無名取り混ぜて、選りすぐりの日本酒を揃えることで、静かな注目を集めている店らしい。六…

音羽「太郎」

暖簾と貼り紙の「もつ焼き」「キッコー宮焼酎」「ホッピー」という文字を見れば、下町大衆酒場かと思ってしまうが、ここは旧小石川区(現・文京区)の音羽通り。護国寺の駅を出て、車の走る音羽通りを見渡すと、まるで海へと向かう大河のようだ。ここは両側を…

早稲田「加賀屋」でヤミ市座談会

今日は古典酒場の座談会で、早稲田の「加賀屋」へ。ここへ来るのは前回に続いて二回目。「加賀屋」はチェーンとはいえ個人経営の色彩が強く、店によってかなりの違いがある。この店はビールはサッポロ、炭酸はニホンシトロン、焼酎はキンミヤと王道を行き、…

水道橋「スタンドヒーロー」

水道橋駅近くで見つけた立ち飲み屋。メインの料理は串揚げで、つぶ貝、わかさぎ、谷中生姜、山芋磯辺など、ちょっと変わったものもある。モルツの生が三八〇円、ホッピーは三八〇円で、中・外とも二〇〇円と安い。焼酎が一〇数種類あり、三五〇−四五〇円。基…

早稲田「加賀屋」

四谷とも神楽坂とも違うが、ここに入れておこう。早稲田の「加賀屋」である。実は、三月二五日の居酒屋ブログ対談の続きで、前回は出版社の会議室だったが、今回は最初から居酒屋でやろうと相成った次第。ご一緒したのは前回と同じく、「居酒屋礼賛」の浜田…

トルコ料理「ソフラ」

今日は、神楽坂のトルコ料理店「ソフラ」でディナー。飯田橋から神楽坂を登って坂の中ほど、毘沙門天脇の道を左に入ったところの二階にある。この店は、トルコ大使館の肝いりで作られたとのことで、平日の夜に来ると、トルコ人を含む接待の客をよく見かける…