橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

トルコ料理「ソフラ」

classingkenji2007-05-27

今日は、神楽坂のトルコ料理店「ソフラ」でディナー。飯田橋から神楽坂を登って坂の中ほど、毘沙門天脇の道を左に入ったところの二階にある。この店は、トルコ大使館の肝いりで作られたとのことで、平日の夜に来ると、トルコ人を含む接待の客をよく見かける。今日は週末なので、カップルや親しい者どうしのパーティーのような客が多く、リラックスした雰囲気。アラカルトのメニューも豊富だが、始めて行ったなら、三九九〇円の「ソフラ・コース」か、五五〇〇円の「料理長のおすすめコース」を注文するといい。トルコ料理の代表的な品といえば、まずはみじん切りにしたりペースト状にした野菜や豆に味付けしたサラダ、そして主に肉類をローストした「ケバブ」だろう。酒は、トルコビールとキリンビール、トルコワインが赤白それぞれ四種類、アニスで香り付けした蒸留酒ラク、各種のカクテルなど。今日の五五〇〇円コースで最初に出てきたのは、サラダ二−三種類を含む前菜の盛り合わせ(写真)。今日はトマトペーストを使った辛いサラダと、ムール貝のフリッターが良かった。そして、とうもろこしのスープ。次は、魚介類のクレープ包み。チーズとトマトで味付けされた、洗練された料理である。最後はケバブの盛り合わせで、鶏肉と羊肉を串に刺して焼いたものと、薄切り牛肉を串に重ねて刺し、ローストしたものを外側から削いで食べる「ドネル・ケバブ」。ドネルは冷めても美味しいので、まず串焼きを温かいうちに食べ、あとはワインを飲みながらゆっくりドネルを食べる。最後は、デンプン質の粉を混ぜて練り上げたねっとりしたアイスクリーム「ドンドルマ」とチャイで締め。最初にビール、次にトルコワインの白と赤を一本ずつ飲み、二人で一七〇〇〇円ほどだった。
この店では、毎日八時ごろからベリーダンスショーをやる。最初は女性が一人で踊り、次は男性と二人で踊り、最後は客を一人一人誘っては一緒に踊らせる。私も引きずり出されて踊らされた。踊るのは大の苦手だが、まあご愛敬ということで。今日の踊り子さんは、エヴァさんという人。踊り子は二−三年ごとに変わるようで、私が見たこの店の踊り子さんは三人目。ベリーダンスの踊り子さんには、テクニックは大したことないが美人というタイプと、テクニックがすごいというタイプの人がいる。エヴァさんは、前者のタイプだったので、何度も見ている私としては少々物足りない。しかし客あしらいは慣れていて、次から次へとオジサンたちを引っ張り込んで踊らせるのは、見ていて楽しい。
トルコ料理店は新宿・池袋・渋谷などいろいろあるが、私としては新宿の「イスタンブール」とここが双璧。コースの中身は、いつもさほど変わらないので、コースを一−二回食べたら、次からはアラカルトにした方がよさそうだ。(2007.5.26)