橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

経堂

「Hachi Villa」

自宅の近くに最近できた店。今日、初めて入ってみた。 外メニューから、何となく無国籍居酒屋かと思っていたが、実際には、トリッパ、ハモンセラーノ、スペイン風オムレツ、小エビのガーリックオイル煮、フラメンカエッグなど南欧系の正統派メニューが多い。…

松原「うおのそら」

今日は聖心女子大での集中講義の最終日。食事は自宅から近いのに、なかなか行くことができなかったこの店に予約を入れた。魚と日本酒が美味いと、一部で評判になっている店である。 魚のメニューは日替わりで、すべてに産地が記してある。今日の魚は気仙沼産…

経堂飲み会

今日は、「古典酒場」編集長の倉嶋さん、FB友のAkikoさんをお迎えして、経堂飲み会。まずは「KYODO406/経堂葡萄酒」にてスパークリングワインで乾杯。次は「らかんてい」で日本酒と魚料理をいただく。三軒目は「きはち」でもつ焼きをいただき、最後はここ、…

「日南市じとっこ組合 世田谷経堂店」

みやざき地頭鶏を看板に掲げるチェーン店。存在は前から知っていたが、今日初めて入った。 解説によると、みやざき地頭鶏とは天然記念物の地頭鶏の雑種第二代とのこと。炭火焼き(中一二八〇円、大一九八〇円)を注文すると、底が浅めの網籠のような網を炭火に…

「木こり」

経堂まで戻り、もう一軒。この店、ふだんは東京農大生のたまり場のようなところがあり、敬遠しがちなのだが、春休みの今日はひっそりしている。実は日本酒の穴場である。東京農大の醸造科学科には全国から蔵元の後継者たちが集まっている。この店の常連とな…

トシヤヴェルデ

経堂には「美登利寿司」「寿矢」という兄弟の営む二軒の寿司屋があって、いずれも人気店になっている。その三軒目が、ここ。名前の通り、イタリアンの要素を加味した変わった業態。もちろん寿司はあるのだが、その他のメニューは割烹居酒屋メニューとイタリ…

「がんずーうやき」

経堂に、比較的最近できた沖縄料理店。入ろうと思って行ったら満員だったことなどあって、今日が初めての訪問。 沖縄料理店だから当然といえないこともないのだが、うれしいのはオリオン生ビール(ジョッキ六五〇円、グラス五〇〇円)があること。アサヒビール…

NON+be-

私の家のすぐ近くに最近できた店。商店街の外れのこんな場所で商売が成り立つのか分からないが、居酒屋への最短距離を大幅に更新してくれるのは大歓迎だ。 酒のメニューからみれば、基本的にはバーだ。種類は少ないものの、クラガンモア、ボウモアなどいいウ…

「さばの湯」の鯖缶

帰り道に「さばの湯」に立ち寄ったら、店の真ん中に金色に輝く缶詰の山。店主の須田さんに聞くと、震災で全壊した木の屋石巻水産から、瓦礫と泥に埋もれた缶詰を買い取り、常連客たちが集まって洗ってきれいにして、売り出しているのだとのこと。缶詰は、五…

「KYODO406/経堂葡萄酒」

四月末、経堂の駅前に商業施設の「経堂コルティ」がオープンした。以前あった「経堂ジョイフル」が取り壊されてから、不便な暮らしを強いられていたが、これでずいぶん便利になった。四階のレストランフロアに飲食店が五軒あり、その中で酒がメインといえる…

「えっ!?つくねっすか!?経堂店」

最近できた店らしい。アライブフードファクトリーが経営するチェーン店だが、まだ都内・近郊に数軒程度しかないようだ。店名にもなっているつくねを中心に置き、串焼きを十数種類揃える。一本一五〇円から二〇〇円が中心だから、あまり安くはない。つくねは…

「笑和堂」

経堂駅からの帰り道、見慣れない看板を見つけた。「樽生エーデルピルス」という文字に惹かれて、入ってみることにする。 ビルの二階の店内は、白木を使ったいかにも手作り風のインテリアで、カウンター席が五つほどと、テーブル席。エーデルピルス(六五〇円)…

「レプロット」の「鮎のペペロンチーノ」

久しぶりに、近所のイタリアン「レプロット」で夕食。前菜に空豆のテリーヌと牛肉のカルパッチョをいただいたあと、パスタは鮎のペペロンチーノ。詳しくは聞かなかったが、鮎をグリルで焼き、ほぐしてからパスタに加えたものらしい。なるほど、独特の風味の…

「早雲」

今日はずっと家で仕事。こういう日は家で食事をするのが普通だが、妻が友人とフレンチへ行くというので、私は一人で近所へ飲みに行くことに。駅と反対方向なので、これまで入りそびれていたこの店へ行ってみることにした。 店頭のメニューに、而今、王禄、く…

カフェバー「410>kyodo」からみる経堂駅前ビル工事現場

経堂限定の、ローカルな話題です。 帰り道、経堂駅の近くに最近できたカフェバーに寄ってみることにした。全品410円均一で、ビールやウイスキーなどをいただく。この店、経堂住民は行ってみる価値がある。経堂駅前ビルの建設現場を一望することができるから…

「炭火焼 Ken坊」

この不況だというのに、経堂の西通りには、新しい店のオープンが続いている。この店も、できたばかりの店。かつて「ぼんぞ」というラーメン屋兼ロックバーがあった場所だ。洋風のインテリアで、カウンターとテーブルがある。 店先の看板に「串に刺ささない、…

「ガヤガ屋」

いつもと違った道から帰ってみる。小田急線の南側、少し遠回りになるが、このあたりにもいろいろ店がある。駅から線路沿いに西方向へ二分ほど歩いたところ、新しい店ができている。これだから、たまには通ってみないと。 店の名は「ガヤガ屋」という。和紙を…

「らかんてい」と「経堂ゆる呑みマップ」

この店は、以前にも取り上げたことがある。住宅街の中の分かりにくい場所にあったのだが、最近になって経堂西通りの飲食店街に移転してきた。 店内は、少し狭くなったが、席数はさほど変わらないようだ。メニューは変わっていない。あいかわらず、いい刺身を…

「あきの」

一年ほど前にできた日本料理店。V字状の角地にあって、以前は居酒屋だった場所だ。その居酒屋のイメージがあまりよくなかったせいで、跡地に入った店までも見くびっていて、これまで足を運ばなかった。それが、たまたま目にしたネットの評が悪くなかったの…

「さばのゆ」

かつて経堂に、塩原湯という銭湯があった。堂々たる伝統建築の銭湯で、ときどき落語会やライブなどのイベントも行なわれ、コミュニティ・センターのような役割をも果たしていたのだが、老朽化のため惜しまれつつ取り壊された。 そのイベントを仕切っていた「…

「ビストロ一平」

経堂の飲食店業界は、多士済々である。「料理の鉄人」に出演したシェフ、制作活動のかたわらバーを経営するアーティスト、寿司界の若貴といわれた兄弟寿司職人、東大大学院に留学のあとカレー店をはじめたインド人など。これまで紹介したことがないのだが、…

「ブラッスリー・パラディ」

居酒屋専門の方には、フレンチ続きで失礼。誕生日が来て五〇歳になったことだし、たまにはご馳走をというわけで、近所のワインレストランへ。行こう行こうと思いつつ、ずいぶんのご無沙汰である。この店、経堂駅から北に出て、すずらん通りに入ってすぐ。料…

「ガラムマサラ」

今日はカレーマニアの知人が、この店へ行きたいというので、現地で待ち合わせ。経堂西通りにあるインド料理の名店である。インド人店主のハサンさんは、なかなか研究熱心で、ときどき新しいメニューが出現し、以前からあった料理も、プレゼンテーションの仕…

「らかん茶屋」で飲む「けいこうとなるも」

今日は仕事に集中していたので、買物もできず料理の時間もなく、妻ともども近所の居酒屋へ。向かったのは、一月のはじめにも行ったこの店。イカと鰺をたたいて粘りけを出した「なめろう」、皮目を焼いた金目鯛の刺身、金目のカブト煮、地魚の天ぷら盛り合わ…

「レプロット」

料理の質と値段に、地の利を少々加味するなら、個人的にはベストと思っているイタリアンの店。すっかりなじみになってしまって、今年の正月のホームパーティーには、シェフと奥さんをご招待した。そのとき以来なので、お会いするのはほぼ1月半ぶり。 この店…

「マルキ市場」

姪っ子が受験のため上京して我が家にしばらく泊まり込むことになった。この子、肉料理が好きなのだが、母親が肉嫌いのためいつもは食べられない。そこで最初の試験が終わった今日は、焼肉屋へ連れて行くことにする。家の近所で焼肉といえば、ここに決まりだ。…

「八昌」

私はお好み焼きを、好んで食べることはない。しかし、近所に名店といわれる店があって、酒もひと通り揃っているとなれば、話は別。それがこの店、農大通りの「八昌」である。店主は広島の「八昌」本店で、七年間修行してから、この店を開いたとのことで、本…

「琉球ホルモン 経堂店」

最近、さほど規模の大きい会社ではないのに、多数の業態を同時並行的に展開する飲食店チェーンが増えている。この店も、そうしたチェーン店の一つで、経営するのは店舗プレミアム(株)という東京の会社。名前の通り、ホルモン専門店で、ホルモン(この店の場合…

「らかん茶屋」

今日は、出版社との打ち合わせ。いつもなら池袋あたりへ出るのだが、ゲラが出てくる予定なので遠出して酒を飲むのは少々不安。そこで、経堂まできてもらうことにした。経堂駅の南口に出て農大通りに入り、一〇〇メートル歩いたところから右の小路に入り、す…

「彩雲瑞」

一年半ほど前、近所にできた中華料理店。実は知る人ぞ知る実力店で、ある週刊誌のミシュランガイド批判記事で、載せるべき店のひとつとして取り上げられたことがある。店主は吉祥寺「竹爐山房」で十四年間修行を積んだとのこと。以前イタリアンだった場所を…