橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「八昌」

classingkenji2009-01-23

私はお好み焼きを、好んで食べることはない。しかし、近所に名店といわれる店があって、酒もひと通り揃っているとなれば、話は別。それがこの店、農大通りの「八昌」である。店主は広島の「八昌」本店で、七年間修行してから、この店を開いたとのことで、本格的な広島風である。店にはいると、大きな鉄板を囲んだL字型カウンターがあり、右奥にはテーブル席がある。
お好み焼き以外の料理も、種類が多い。広島産の牡蠣、ホルモン、野菜などを焼いたものが中心で、焼き上がると、席の前の適度に熱された鉄板の上に置いてくれる。火が通りすぎることはないが、暖かいまま食べられるという工夫である。お好み焼きは、申し分ないおいしさ。キャベツの量も十分だ。ホルモン焼も美味しく、これで一杯やった後で、お好み焼きを食べるという客も多いようだ。見たところでは、酒が主目的という客が半分程度はいそうだ。その意味では、「お好み焼き居酒屋」とみることもできる。酒は、ビール、日本酒、ホッピー、焼酎などいろいろ。けっこう珍しい焼酎もある。お好み焼き一枚でかなり量があるから、飲んで食べてのお勘定は、かなり安上がりとなる。
おとなの週末』の今月号にも紹介されていて、東京のお好み焼き屋のベスト一〇位とのこと。先日の「沼田」と違って、これは正確な順位とみていいのだろう。(2008.1.16)

世田谷区経堂1-21-18 原田ビル2F 
12:00-15:00 17:00-0:00 日・祝23:00まで 月休