橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

中央線沿線

中野「炙谷」

今年も中野のエクステンションセンターで、居酒屋の講座をやった。昨年は15:00〜16:30という中途半端な時間だったためか高齢者が多かったが、今年は19:00からなので、現役サラリーマンやワーキングウーマンも参加している。 終わったあとは、当然飲みに行く…

東中野「浦野屋 やきとん てるてる 東中野店」

というわけで、もう一軒。「ひなた」系の焼きとんの店である。東中野駅から東中野銀座通りに入って、三分ほど歩いたところにある。 もつ焼き関係とイタリアンが充実していて、魚の刺身は少ないというのは、先日行った高田馬場店と同じ。日本酒が何種類もある…

中野「打越酒場」

中野の早稲田大学エクステンションセンターでやっている社会人向け講座2週目。今日はこの店で飲む。店名は、中野駅北口のこのあたりを昔、打越町と呼んでいたからだろう。 利き酒セットが充実している。刈穂、山本、喜久盛、天明、奈良萬、神亀、大那、想天…

中野「ビール工房」

中野の早稲田大学エクステンションセンターで、社会人向けの講座をやっている。終わったあとは、当然飲みに行く。たまたま見つけた店が、ここ。店の感じもメニューも「高円寺麦酒工房」そのもので、聞いてみるとやはり姉妹店とのこと。いつの間にか高田馬場…

吉祥寺「PLAT STAND 酛」

日本酒好きに大人気の新宿「酛」の三号店として、一年半ほど前に開店した立ち飲みが基本の日本酒バー。一号店と同様、日本酒の品揃えが素晴しい。「而今」「山形正宗」「貴」「若波」「七田」「川鶴」「花陽浴」「風の森」「鳳凰美田」など、新世代の名酒が…

吉祥寺「吟の杜」

吉祥寺には、美味い日本酒、それも新世代の純米酒を出す店があまりないと思っていたら、ここ一、二年の間に相次いで開店した。この店はその一つで、今年二月にオープンしたばかり。カウンターの向かいの保冷庫には、「残草蓬莱」「風の森」など。置いている…

吉祥寺「千尋」

この日は、吉祥寺へ。まず入ってみたのは、この店。以前から存在は知っていたが、地元民一〇〇パーセントの雰囲気に気押されて、これまで入ったことがなかった。 古い店だ。聞けば、一九六八年創業とのこと。堂々たる概観で、内装も当時のままだという。駅の…

中野「常蔵」

中野駅に近い、目立たない路地で四時に開店する立ち飲み屋。立ち飲み屋と言っても、酒も料理も一流。黒板メニューには、十四代が五種類、鍋島、田酒、貴、姿、雅山流など日本酒ファン垂涎の日本酒がずらりと並ぶ。料理も、一〇種類ほどの刺身をはじめ、手の…

中野「やきや」

この日は、某雑誌の取材の下見で中野へ。オフィスビルや明治大学・平成帝京大学の校舎など、高層ビルが増えてすっかり都心化した中野の街だが、飲み屋街もチェーン店がずいぶん増えて、これまた都心化している。しかし、一本脇道に入れば以前のままだし、南…

西荻窪「仙の孫」

この日は、退職する教員の送別会で西荻窪へ。なぜ大学から遠く離れたこんな場所になったかというと、退職する教員のなかに、どうしても東日本の食材は食べたくないというわがままな人がいたから。この店は、食材の出所がはっきりしていて、野菜は大分産の有…

方南町「野方屋」

思い出横丁「野方屋」の壁に、店の写真があった。方南町は行ったことがない場所だが、ちょうどいい機会。行ってみることにする。大学から大江戸線、丸ノ内線と乗り換え。そもそも、丸ノ内線の分岐線に乗ったのは初めてかもしれない。駅からは、少し距離があ…

西荻窪「戎」

三軒目をいろいろ物色したが、小さな店はみんな満員。結局、ここにした。それでもかなり満員に近く、通りに面した変形カウンターに並ぶ。皆さん、もうかなり飲んでいるので、ピッチは遅めでまったりした雰囲気。こんな時は、サッポロラガーを小さなグラスで…

西荻窪「にぎにぎ一」

二軒目は、ここ。「にぎやかにぎり」を略して「にぎにぎ」。一は「いち」と読む。立ち食い・立ち飲みの寿司屋で、ネタは上質。値段は一貫一〇〇円の普通ネタと、三〇〇円の高級ネタが中心だが、味は高級寿司店並み。L字型カウンターはいつも一杯で、七人も…

西荻窪「よね田」

今日は『古典酒場』の座談会で、西荻窪へ。会場はこの店の二階座敷で、ビールやホッピー、そして私が秘蔵していた陸前高田の名酒「酔仙」の純米酒などをいただきながら、居酒屋談義をする。今回のテーマは「絆」で、私は東京にある岩手・福島・宮城関係の店…

中野「味吉」

この店、いつから営業しているのだろうか。初めて入ったのは一五年ほど前だろう。日本酒初心者の連れに「いちばんコストパフォーマンスが良くて好みの酒」は何かと尋ねられ、そのとき飲んでいた静岡の「若竹鬼ごろし」だと答えた。すると、ちょうど店員がカ…

高円寺「野方屋」

「秋元屋」系のモツ焼き屋は、たいがい行ってるつもりだったが、ただ一軒行っていなかったのが、この店。今日になって、ようやく行くことができた。駅の南口を出て、線路沿いに新宿方向へ少し歩いた場所にある。 大きな店ではないが、カウンターとテーブル席…

吉祥寺「清瀧」

今日は、仕事のあと吉祥寺へ。まずは「ミュンヘン」でビールを飲む。いただいたのはベルギービール、シメイの樽生。瓶入りはよく見かけるが、それとは全く別物で、味・香り・キレ、すべて申し分ない。まさに輸入ビールの最高峰である。 次に向かったのは、「…

吉祥寺「ミュンヘン」

書くのを忘れていたので、少し日付をさかのぼる。 勝沼からの帰り、まだ少し飲み足りない気がして、吉祥寺で下りた。ハモニカ横丁へ行こうかとも思ったが、ちょっと気分が乗らず、通り抜けたところでこの店を見つけた。最近できたらしい。世界のビールをいろ…

中野「煮込み屋ぐっつ」

今日は、久しぶりに中野へ。向かったのは、先日の『大人の週末』に掲載されたこの店。 料理は、あいかわらず美味しい。粉チーズをかけていただく塩味の煮込みは、煮込みの新境地である。牛ほほ肉柔らか煮は、すっきり品よく仕上がっている。思いがけず美味し…

ヤミ市研究会 in ハモニカ横丁

今日は、東大の建築史研究室でヤミ市研究会。終わった後は恒例の「現地調査」で、今回は吉祥寺のハモニカ横丁へ。予約しておいたのは「ハモニカキッチン」で、無国籍料理の他、すぐ横の「てっちゃん」のヤキトリを注文することもできる。しかし案の定、レバ…

吉祥寺「アヒルビアホール」

花見のあとは、上板橋の「もつ九」、阿佐ヶ谷の「吟雅」と飲み歩き、締めくくりは吉祥寺のハモニカ横丁へ。入ったことのない店を物色し、立ち飲みのこの店に入ることにする。入るといっても、路地に面したオープンスペースである。一年ほど前に開店したらし…

高円寺「関根精肉店」

仕事の帰り、高円寺でちょっと飲むことになって、駅の当たりを歩いていて、見つけて入ったのがこの店。店構えと内装は、見るからにという感じだが、エー・ピー カンパニーが浜倉的商店製作所の浜倉好宣の協力を得て展開するチェーンである。 最初に「肉刺し …

大久保「呑吉」

大学の帰り、東中野の「みや」に立ち寄る。そのまま帰ろうかとも思ったが、ふだん行かない中央線の大久保に行ってみることにした。駅の周辺歩きまわって、目についたこの店へ。ホッピーの赤提灯の列が煌々と輝き、太めで力強い感じの縄のれん越しに店内が見…

高円寺「高円寺麦酒工房」

先日、岡山へ出かけた折り、「吉備土手下麦酒 普段呑み場」という地ビールの店へ行った。聞くと店主は、これまで地ビール造りを志す若者たちを何人か受け入れ、ビール作りを教えてきた。そしてその一人が最近、高円寺に店を開いたという。もちろん小規模のブ…

西荻窪「戎」

今日は推薦入試の面接で、朝から夕方まで大学で拘束され、三人ほど連れだって慰労会ということで西荻窪へ。入ったのは、南口の飲食店街にある「戎」である。 この店については、以前も書いたことがある。ヤミ市起源の老舗で、増築を繰り返して現在は四軒から…

中野「煮込み屋 ぐっつ」

さて今日はどこへ飲みに行こうかと考えながら大学を出ようとしたら、同僚に飲みに行くならどこか連れてってくれとせがまれ、久しぶりに中野へ行くことにする。まずは「魚の四文屋」に入ってビールでのどを潤し、前菜に魚を食べたあと、向ったのがこの店。前…

小金井「江戸東京たてもの園」の「鍵屋」

都立小金井公園にある野外博物館で、東京都内にあった江戸時代から昭和初期の貴重な建物二七棟が移築されている。 その一棟に、根岸の名店「鍵屋」の移転前の建物がある。一九七〇年ごろの姿を復元したとのことで、壁のメニューには湯豆腐が80円、どぜう柳…

東高円寺「天★」

今日は、米国赴任中のテレビ東京の星野さんが一時帰国したというので、日本酒好きが集まることになった。場所は、丸の内線東高円寺駅近くの、この店。中央線の高円寺からは遠いのだが、便宜上、このカテゴリーに入れておく。繁華街から外れた場所の、本当の…

中野「煮込み屋 ぐっつ」

生ホッピーを三杯飲んだところで「ぢどり屋」を出て、中野駅の方へ向かう。「第二力酒蔵」の前を通りかかったところで、向こうに見慣れない店がある。洋風の店のようだが、看板には「煮込み屋」の文字。これは、面白そうだ。 看板のもつ煮込みは、味噌味、塩…

中野「ぢどり屋 中野店」

この店は今年の六月に紹介した。「生ホッピー」の文字に引かれて入ったのが、この店。その日は生ホッピーの文字にひかれて入ったのだが、冷えてないジョッキを使っているらしい。店員が「生ホッピー、いかがですか」と聞くので、「ちょっとぬるいなぁ」と答…