橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

高円寺「高円寺麦酒工房」

classingkenji2011-03-09

先日、岡山へ出かけた折り、「吉備土手下麦酒 普段呑み場」という地ビールの店へ行った。聞くと店主は、これまで地ビール造りを志す若者たちを何人か受け入れ、ビール作りを教えてきた。そしてその一人が最近、高円寺に店を開いたという。もちろん小規模のブルワリーだから、ビールといっても酒税上は発泡酒である。
これは行ってみなければと、高円寺へ。高円寺の北口から三分ほど歩いた住宅地の中の店である。ウッドデッキから入ったところの、手作り感の漂う店内は意外に広く、手前にテーブルがいくつかあり、奥は広いテーブル席で宴会が準備されていた。地ビールは、レギュラー品がアメリカンペールエールトレッドエールで、その他にスペシャリテが一種類。この日のスペシャリテは、通常より高炭酸のアメリカンペールエールで、これはカスケード・ホップの香りが素晴らしく、これまで飲んだこのタイプのビールの中でも有数の出来だった。さらにキリンビールを三種類置いていて、ハートランドを「ジャーマンビルスナー」、ラガーを「アメリカンラガー」、一番絞りスタウトを「シュバルツ」と、アメリカ流のスタイル名で表示しているところが面白い。料理は、ナッツ、ジャーキーなどの乾き物、ソーセージ、ピリ辛ジャーマンポテト、豚のしゃぶしゃぶ、若鶏とニンニクの芽の炒め物など。
一月に開店したばかりのこの店、さぞかし苦戦しているかと思いきや、客がどんどん入ってきて、奥では十数人の宴会も始まった。ビールは旨いし、料理もビールに合うものを揃えているから、リピーターもつくだろう。高円寺の新しい注目スポットである。

杉並区高円寺北2-24-8
平日16:00-22:30
土曜/祝前日15:00-22:30
日曜/祝日15:00-21:30 月休