橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

中野「やきや」

classingkenji2013-11-11

この日は、某雑誌の取材の下見で中野へ。オフィスビル明治大学・平成帝京大学の校舎など、高層ビルが増えてすっかり都心化した中野の街だが、飲み屋街もチェーン店がずいぶん増えて、これまた都心化している。しかし、一本脇道に入れば以前のままだし、南口はあいかわらず郊外住宅地の趣である。南口の細い道に面して建っているのが、この立ち飲み屋。
荻窪にも同名の店があり、兄弟店のような関係とか。共通するメニューも多く、最大の共通点は一七〇円のイカ刺身、イカ塩辛。酒も安いから、飲んで食べて一〇〇〇円ほど。早い時間帯は近所のご隠居さんたちのたまり場で、店主との世間話を聞いているのが、また楽しい。ちょうどニュースで、安倍首相の原発関連の答弁を報じていて、店主がひとくさり弁舌をふるっている。
安倍ってのはほんと馬鹿だねぇ。今に日本中、タンクだらけになっちゃうよ。みんながちゃんと主張しないと。今の若いのが何とか頑張らないと。女の子の腕にぶら下がってる場合じゃないよ。ネットは下らないことばかりだし。大久保のコリアン帰れ殺せだの。ほかにやることあるだろう……。
常連中心の店だが、外から中がよく見えるので、初めてでも入りやすい。(2013.10.23)

中野区中野2丁目27-14
16:00〜23:00 日休