橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

吉祥寺「清瀧」

classingkenji2011-10-24

今日は、仕事のあと吉祥寺へ。まずは「ミュンヘン」でビールを飲む。いただいたのはベルギービール、シメイの樽生。瓶入りはよく見かけるが、それとは全く別物で、味・香り・キレ、すべて申し分ない。まさに輸入ビールの最高峰である。
次に向かったのは、「清瀧」。かつては安居酒屋の代名詞だったこの店が、値段はそのままですっかり普通のグレードの居酒屋になってしまった変貌ぶりについては、拙著『居酒屋ほろ酔い考現学』の第一章でも紹介した。それも吉祥寺となるとさらにその性格が強いようで、見かけは割烹居酒屋に近い。しかし、もちろん清瀧価格。本日のサービス品、鰹の刺身は一九〇円だが、十分食える味だ。カンパチ四八〇円も、十分美味しかった。純米原酒(大徳利で五三〇円)も、けっこう楽しめるできで、コスパはたいへん高い。安かろう不味かろうのチェーン店が横行する中、このような良心的中型チェーン店にはがんばってほしいものである。願わくは、若者を引きつける工夫がほしい。デフレの中、大型チェーンの安コース料理と安酒に慣らされた若者たちは、酒を味を知らずに大人になってしまいそうである。(2011.10.7)

武蔵野市吉祥寺本町1-1-12	
16:00〜24:00 元旦休