橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

西荻窪「仙の孫」

classingkenji2012-04-12

この日は、退職する教員の送別会で西荻窪へ。なぜ大学から遠く離れたこんな場所になったかというと、退職する教員のなかに、どうしても東日本の食材は食べたくないというわがままな人がいたから。この店は、食材の出所がはっきりしていて、野菜は大分産の有機野菜なのである。
店によると「医食同源」がモットーで、隠し味に二〇種類の漢方薬を使っているとのこと。たしかにややスパイシーさを感じる部分もあるが、食材の組み合わせや盛りつけからみて、創作中華料理店の色彩が強い。コースにもその片鱗はみられたが、黒板メニューには「聖護院大根の四川風ごまだれかけ」「石川県産目ヒカリの香り揚げスパイシーパン粉炒め」「新潟県産ホッケ料理」など、試してみたいものが並んでいる。ビールはサッポロが中心。紹興酒も良質のものを何種類か揃えている
西荻窪といっても、駅からかなり西に歩き、ほとんど武蔵野市との境界に近い。西荻窪まで行ったら、当然南口の居酒屋街だろうという気もするが、この店ならたまに来てみても良さそうだ。(2012.3.23)

杉並区西荻北4-4-2
11:30〜14:30 17:30〜21:00 月火休