橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

吉祥寺「千尋」

classingkenji2014-08-23

この日は、吉祥寺へ。まず入ってみたのは、この店。以前から存在は知っていたが、地元民一〇〇パーセントの雰囲気に気押されて、これまで入ったことがなかった。
古い店だ。聞けば、一九六八年創業とのこと。堂々たる概観で、内装も当時のままだという。駅のすぐそばの繁華街のまん中だが、開店したころは店が四−五軒しかなく、客も若い人が多かったとのこと。年輪を重ねた今、店内には時間を経ることによってしか作り出すことのできない成熟した雰囲気があり、地元の中高年たちで賑わっている。
鯵や鰯の料理が多く、煮物が素晴しく美味しかった。酒は、福島県二本松市の「奥の松」がメイン。この店には、人気の街になる前の、古い住宅地としての吉祥寺が息づいている。(2014.7.31)

武蔵野市吉祥寺南町1-1-7
17:00〜24:00 お盆・年末年始休