橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「ビストロ一平」

classingkenji2009-05-25

経堂の飲食店業界は、多士済々である。「料理の鉄人」に出演したシェフ、制作活動のかたわらバーを経営するアーティスト、寿司界の若貴といわれた兄弟寿司職人、東大大学院に留学のあとカレー店をはじめたインド人など。これまで紹介したことがないのだが、長谷川一平氏もその一人。やきとり屋「鳥へい」を経営する一方、飲食店を志す若者たちの支援活動も怠らない。その長谷川氏が、まったく違うコンセプトで出した支店が、ここ。
以前やきとり屋だった店舗をそのまま利用している(ちなみに拙著『居酒屋ほろ酔い考現学』一一七ページの写真Aは、このやきとり屋で撮ったものだった)。
看板にある通り、価格設定は三〇〇円、四〇〇円、五〇〇円とシンプル。テーブルとカウンターがあるが、キャッシュ・オン・デリバリーで立ち飲み感覚。本店はすぐ近くなので、長谷川さんは両方を行ったり来たりしている。
私が行ったこの日は、女性二人連れを含め、若者客が多かった。女性が一人でも入れる店、というのがコンセプトらしいが、その方向に進みつつあるようだ。
近所の人は、寄ってみてはいかが。場所は分かりにくいので、住所から場所を確認してから行きましょう。

世田谷区経堂2-14-3
http://www.h7.dion.ne.jp/~torihei/index.html