橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「らかん茶屋」

classingkenji2009-01-15

今日は、出版社との打ち合わせ。いつもなら池袋あたりへ出るのだが、ゲラが出てくる予定なので遠出して酒を飲むのは少々不安。そこで、経堂まできてもらうことにした。経堂駅の南口に出て農大通りに入り、一〇〇メートル歩いたところから右の小路に入り、すぐの左側にあるのが、この店。良い料理といい酒を揃え、しかも値段はリーズナブル。なめろう、地魚天ぷら盛り合わせ、ブリ大根、帆立と茄子の黒酢炒め、地鶏のつくね焼など、いい素材に一手間かけた料理が、五八〇円から六八〇円が中心。酒も、南、獺祭、豊盃、浦霞など、五八〇円から六八〇円が中心。焼酎もいろいろ揃え、山ねこ、克などが四八〇円、ボトルでも三〇〇〇円という安さ。
今日食べた中で素晴らしかったのは、牡蠣の柚胡椒蒸し(六八〇円・写真)。器の下には絹ごし豆腐が敷かれていて、とろみのついた出汁といっしょに牡蠣を蒸し上げたもの。シメジも入り、仕上げに三つ葉を散らす。真似したくなる料理である。燗酒との相性は素晴らしい。地魚天ぷら盛り合わせは、魚がなんと六種類で、ものによっては大葉で包んだりと手がかかってわずか六八〇円。都心なら、十分名店に数えられるだろう。駅に近いので、沿線の人はぜひどうぞ。ただし、混んでいることが多い。(2009.1.9)

世田谷区経堂1-23-13興輝ビル1F
日‐木:18:00〜23:30
金・土:18:00〜翌1:30