橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

大塚「北斎」

classingkenji2018-12-30

この夏にオープンした「大塚のれん街」の一軒。この一角、カテゴリー的にはいわゆる「ネオ横丁」に入るのだろうけれど、建物内部やガード下に展開するのではなく、各店が道路に面していて、独立性が高い。もともとあった店が改装したところもあり、ユニークな例といっていいだろう。この日初めて入ったのが、この店。
馬のかぶり物を着けた店員が呼び込みをしていて、女子高生たちが笑いながら通り過ぎていく。売り物は馬料理で、生肉刺し三種盛り(赤身・霜降り・タテガミ)が六五〇円、桜モツ煮込みが六三〇円のほか、カツ、ステーキ、柳川風など。刺身は各二切れずつだけだが、この値段なら納得だ。煮込みもすっきりした味で良い。日本酒が六種類あり、珍しい東京の「嘉泉」、福島の「寫楽」、熊本の「花の香」など、チョイスは悪くない。メインのビールがアサヒなのは残念だが、隅田川ブルーイングのエールもあるから、こちらにすれば問題ない。大塚駅の北口を出て正面に向かった都電の踏切を越えればすぐ。(2018.9.4)

豊島区北大塚2-28-2
16:00〜23:30 無休