橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

大阪・謎のホッピー

classingkenji2009-07-15

一泊二日で大阪へ。仕事は一日目で終わり、その日の夜と翌日の昼間、何軒かを飲み歩く。ある居酒屋で、ビールを飲みながら店内を見回していると、「ホッピー二八〇円」という貼り紙が目に入ってきた。大阪でホッピーに出会ったのは初めてのことだ。二八〇円とはやけに安いが、どんな形で出て来るものか。さっそく注文してみるが、運ばれてきたのはこのボトルだけ。焼酎も氷の入ったジョッキも出てこない。これをビールグラスに注いで飲めということらしい。しかもボトルは、ラベルがはがれてのっぺらぼうだ。おそらくホッピーの営業が、苦労して置いてもらったのだろうけれど、飲み方までは理解されなかったらしい。要するに、ノンアルコールビール。暑い日だったし、少々酩酊し始めた頃だったので、これはこれで美味しかったのだが。(2009.7.12)