橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

大阪・梅田「大阪屋」

classingkenji2007-11-01

いったんホテルでチェックインを済ませ、また新梅田食道街へ。今度は、道路に面したところにある立ち飲み屋「大阪屋」である。活気がある。入り口のあたりには小皿料理が並び、周りに人が群がっている。スーツにネクタイ姿のサラリーマンがいる。ネクタイを外している人もいる。野球帽をかぶった労働者風や、ハンチング姿のご隠居風もいる。あるものは談笑し、あるものは静かに飲んでいる。瓶ビールとどて焼きを注文した。ビールはキリンのラガーで、大瓶四〇〇円。土手焼きは白味噌で、見かけは品がよく、味は濃い。これが三〇〇円。この店も、昼間からやっている。翌朝、店の前を通ると、野球帽をかぶった初老の男が三人ほど、それぞれ静かに酒を飲んでいた。立ち飲み文化は、やはり大阪の方がずっと格上である。(2007.10.27)