橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

椎名町「北の誉」

classingkenji2013-03-19

椎名町は、池袋から西武線に乗って一駅目。ほとんど都心のうちといっていい場所だが、下町風の庶民的な商店街のある住宅地だ。昔ながらの魚屋、八百屋、惣菜屋などが並び、いい古本屋もある。そして、居酒屋も。以前から入ってみたいと思っていた店に、入ってみる。
店名どおり、メインの酒は「北の誉」だが、月替わりの日本酒メニューには、「十四代・槽垂れ原酒」「東洋美人・純吟611」「菊姫・鶴の里」など、筋のいい酒が七種類。七〇〇−九八〇円と安くはないが、日本酒好きにはうれしい。「十四代」をいただいてみたが、香りが素晴らしく、最近飲んだ酒でも出色の品。
料理は、地鶏の焼鳥と、愛媛の網元から直送という刺身がメイン。焼鳥の盛り合わせをいただいたが、焼き具合も美しく、いい香りに仕上がっている。ゲソわさを注文すると、その場で茹で上げて美しく盛ってくれた(もっとも、茹でたてだったのは、開店間もない時間だったからだろう)。臭みなど皆無で、辛口の「北の誉」に合う。
地元客に人気の店らしく、すぐに満員になった。椎名町の駅から、少し練馬側へ歩いたところにある。(2013.3.12)

豊島区長崎2-3-21
18:00〜2:00 水休