橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

麻布十番「ふじ嶋」

classingkenji2010-12-25

三田小山町から麻布十番へ。表通りはきれいになったが、裏に回れば古い街並みが残る。歩くうちにときおり、低い建物の屋根の上に六本木ヒルズが頭を出す。そんな一角に見つけたのが、この店。看板に「芝浦直送 新鮮朝〆ホルモン串焼き」とあり、ホッピーとジンジャーハイボールの提灯が並んでいる。
店内はカウンターとテーブルがいくつか。焼きトンは一〇種類ほどあり、一五〇円から二〇〇円。五本のお任せ盛り合わせ七五〇円というのを、味もお任せで注文すると、カシラ、タン、ハツが塩で、レバがタレで出てきた。タレで出てきたもう一本、見慣れない形なので何かと聞いてみると、豚のボンジリだとのこと。弾力があり、しかも脂もあり、たいへん美味しい。
生ビールはサッポロ黒ラベルで、中ジョッキが五〇〇円。瓶ビールはサッポロ、アサヒ、キリンとあり、六〇〇円。ホッピーはセット五〇〇円、中三〇〇円。日本酒一合四〇〇円。焼酎は十数種類あり、五〇〇円の「いいちこ」から、二〇〇〇円の「村尾」「森伊蔵」まで。場所柄もあって安いとはいかないが、焼きトンの味は水準を行っているし、また行ってみたいと思わせる店だ。日曜もやっているらしい。(2010.12.15)

港区麻布十番2-6-4
17:00〜24:00 無休