橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

ファミレスのフォアグラ

classingkenji2014-09-28

ファミレスが、相次いでフォアグラをメニューに取り入れている。なかなか食べることのできない、そもそも日本では手に入れるのも難しい高級食材だが、ファミレスで食べるその味は?
というわけで、近所の「ジョナサン」へ行ってきた。フォアグラが二枚載ったハンバーグステーキが、一二九九円。一枚載せだと九九九円だから、一枚三〇〇円、だろうか。味は、悪くない。すこし濃厚さが足りないものの、ちゃんとフォアグラの味がする。これは、お得感が高い。
しかし問題がある。いや、大問題だ。この店のワインは「ボン・ルージュ」だけ。仕方がないので注文したが、輸入の濃縮果汁を発酵させ、味付けに輸入ワインをブレンドしただけのワインが美味いはずはない。甘ったるくて、ワインらしい香りは皆無に近い。これでは、病的に肥満させられたガチョウも浮かばれない。ファミレスは酒飲みには来て欲しくないのかもしれないが、せっかくフォアグラを出しているのだから、期間限定でもいいワインを出せば、客単価も上がるだろう。検討を促したい。(2014.9.26)