橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

川越「いちき」

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この日は、全国青年司法書士協議会の大会で講演のため、川越へ。講演は翌日なのだが、大きなイベントのため打合せのあと前泊することになった。打合せは一時間ほどで終わり、そのあと居酒屋を物色する。川越駅本川越駅を結ぶショッピング街、クレアモールには飲食店も多いが、チェーン店が中心で、こころ惹かれる店がなかなかみつからない。本川越駅近くまで歩いて、ようやく見つけたのが、この店。

カウンターが八席と、テーブルがいくつか。座ってビールを注文すると、お通しが運ばれてきた。これがなかなかな凝っていて、蛸の煮物、湯葉、きびなごの握りなど五種類が、細長い平皿に並べられている。これは一杯目から日本酒を飲みたくなる。ビールはサッポロ、キリン、アサヒと揃い、さらに地元の小江戸ビールがなんと六種類。日本酒は明鏡止水、黒龍、寫楽など六種類あって、九〇ミリリットルのグラスが四〇〇円から六〇〇円。

お勧めだという鹿児島風のとんこつ(三八〇円)を注文したところ、これだけでお腹がいっぱいになりそうなほどのボリューム。刺身の「ちょい盛り」(七八〇円)は、うって変わって金目、鯛、鰆が品良く盛られてきた。この時期には珍しい稚鮎の天ぷら(六八〇円)も、きれいに揚がっていて美味しい。川越にいい店を見つけて、気分良くホテルに帰った。(2019.3.1)

川越市新富町1-12-3
17:00~24:00 日休