橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

新橋暮色

classingkenji2011-03-20

会議のため、丸の内へ。五時になると、会議の途中だというのに節電を呼びかける大音量のアナウンスが流れ、そそくさと終了する。東京駅の方は、五時きっかりに仕事を終えたサラリーマンやワーキングウーマンがごった返している。
銀座・新橋を歩いてみた。裏通りの飲食店ビルの電光看板は、いつもどおりのところが多いが、表通りは照明が消えて、暗い。客も少ない。ガード下の名店「羅生門」も、カウンターに数人の客がいるだけ。どこかに入ろうかとも思ったが、私鉄各社が大幅な間引き運転に入ったとのことで、さっさと帰ることにする。節電と労働時間短縮が、図らずも実現している。こんな生活をしていれば、原子力発電などいらなくなるはずだ。(2011.3.17)