橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「カミヤ」

classingkenji2009-05-28

二軒目は、ここ「カミヤ」へ。同名の店が都内にいくつかあるが、同じスタイルを踏襲している。それは、店に入った最初に、串を一〇本注文しなければならないこと。といっても、一本八〇円だから、八〇〇円。付け出しに三〇〇円取られるような店のことを考えれば、格安といえる。私は、生レバとカシラを注文。酒は、ホッピー(三九〇円)。この店ではホッピーを注文すると、氷なしのものが出てくる。といっても、ジョッキが冷えていない「二冷」。この季節になるとちょっとぬるく感じるので、二杯目には氷を少しだけ入れてもらった。
生レバは新鮮そのもので、純粋なレバーの味がする。カシラは、脂の部分と肉の部分を交互に刺したもので、これもうまい。店内は、ほぼ満員。サラリーマンが多いが、若い男の一人客やカップルもいる。モツ焼が好きな人なら、一〇本くらいは軽く食べられるから安く済むし、何より味がいい。酒も安い。「居酒屋放浪記」の熊猫刑事さんが絶賛しているが、ここを新橋のもつ焼屋の筆頭にあげる気持ちはよく分かる。(2009.5.21)

港区新橋4丁目19-1