橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「立ち呑み 活力魚金」

classingkenji2009-05-29

最近ではあちこちに店を出すようになった魚金グループだが、その本拠地は新橋。本店はじめ、いくつかの店舗があるが、この五月にオープンしたのが、この立ち飲み屋。明るくて活気がある。
入ってまず、麦焼酎の「兼八」(六〇〇円)をロックで注文し、次に刺身の二点盛(五八〇円、単品だと四八〇円)を注文しようとすると、「開店記念でぶつ切り盛一〇〇円で出してますよ」とのこと。出てきたのが、これ。鯛、マグロ、カツオ、カンパチ、コハダ、ミル貝、ゲソ、そして生牡蠣が一個入り、これで一〇〇円。開店記念期間が終わると五八〇円になるらしいが、それでも安い。隣の席に、四〇代の女性を連れてやってきた五〇代のサラリーマンが、「立ち飲み屋に連れてきて済みませんねぇ、安い店で」といいながら、ぶつ切り盛を二人前注文し、女性が驚くのを見て、自慢げにほくそ笑んでいる。
酒はさほど安くない。生ビールはタンブラーで四八〇円、サワー類も四八〇円が中心。日本酒は本醸造三八〇円で、純米や吟醸になると六〇〇円以上が多い。たくさん飲みたいなら、どこか他の店と組み合わせて使うといいだろう。新橋での楽しみが、またひとつ増えた。(2009.5.21)

港区新橋3-18-5難波ビル1F
17:00〜23:30